ミク
桜……
ルカ
前、ここに人形が見つかったって言ってたでしょ?
桜も生えてこないかしら
桜も生えてこないかしら
ミク
(……桜、探したいな。
でも……)
でも……)
ミク
あ……。メイコ
MEIKO
……ミク? 何か用?
ミク
うん、聞きたいことがあって
MEIKO
私に?
リン
あ……ミクいた
ルカ
あら、メイコも一緒だったのね。
一緒にあやとりでもしない?
一緒にあやとりでもしない?
MEIKO
しないわ
ミク
……わたしも、今はできない
リン
……せっかく探したのに
ルカ
ふふ、そんなにすねないで。
私がつきあってあげるわ
私がつきあってあげるわ
ルカ
ところで、ふたりは何をしていたの?
MEIKO
まだ何も。
ミクから、聞きたいことがあると言われたけど……
ミクから、聞きたいことがあると言われたけど……
ミク
うん。……ふたりにも、聞いてほしい
リン
なに?
ミク
桜の木って、どれくらいの大きさ?
ルカ
桜の木?
ミク
うん
MEIKO
……樹齢によるんじゃないかしら。
長く生きている木は、その分大きくなるでしょうし
長く生きている木は、その分大きくなるでしょうし
ルカ
ちなみにミクは
どれくらいの大きさだと思ってるのかしら?
どれくらいの大きさだと思ってるのかしら?
ミク
え? えっと……
ミク
これくらい?
リン
もっと大きいんじゃない?
……これくらい、とか
……これくらい、とか
ルカ
あら、ふたりとも可愛いわね
MEIKO
はあ……。何をやらせてるのよ
MEIKO
……ミク、もしかして桜を探したいの?
ミク
うん……
MEIKO
そう
ルカ
いいわね。私も桜の木を見てみたいわ。
でも……
でも……
ルカ
桜は、綺麗なだけじゃないのよ。
とっても怖ーい言い伝えもいろいろ存在するから
とっても怖ーい言い伝えもいろいろ存在するから
ミク・リン
『え?』
ルカ
たとえば、昔は桜の木を庭には絶対植えなかったみたいよ。
周りの植物に影響して、枯死させてしまうからって
周りの植物に影響して、枯死させてしまうからって
ミク
こ、し?
ルカ
枯れて、死んでしまうっていうこと
リン
じゃあ、枯死させるって……
ルカ
文字どおり、枯れさせて死なせちゃうの。
本当かどうかは私もよく知らないけどね
本当かどうかは私もよく知らないけどね
ミク・リン
『…………』
ルカ
それに桜自身も、咲いたあと花が散るから、
家が栄えないっていういわれがあったみたいね
家が栄えないっていういわれがあったみたいね
ルカ
逆に、墓地や人がたくさん亡くなった場所には
桜が植えられたのよ。死者の鎮魂や慰霊のためにね
桜が植えられたのよ。死者の鎮魂や慰霊のためにね
ルカ
まあそのせいで、人骨から栄養を吸って育つとか、
根元に鬼が住んでるみたいな話まで生まれたみたいだけど
根元に鬼が住んでるみたいな話まで生まれたみたいだけど
リン
…………
ルカ
ちなみに、奏達の世界で咲いている桜のほとんどが、
1本の桜をもとに接ぎ木で増やしたクローンっていう話も——
1本の桜をもとに接ぎ木で増やしたクローンっていう話も——
リン
決めた
ミク
ん?
リン
わたしは桜、探さない。
見つけても見なかったことにする
見つけても見なかったことにする
ルカ
あら、怖がらせちゃったかしら?
MEIKO
明らかに怖がらせるつもりだったでしょう
MEIKO
大丈夫よ。だいたいがただの言い伝え。
しかも、かなり古い時代のね
しかも、かなり古い時代のね
MEIKO
最後のクローンの話くらいじゃない?
今の時代とかかわりがあるのって
今の時代とかかわりがあるのって
リン
そう、なんだ……
リン
……ルカ
ルカ
そんなに睨まないで。
そういう言い伝えがあることは嘘じゃないもの
そういう言い伝えがあることは嘘じゃないもの
ミク
桜は、綺麗なだけじゃない……
ミク
(……そうかもしれない。
でも……)
でも……)
ミク
(それでも、まふゆが綺麗って思ったなら……)
ミク
(やっぱり、探してみたいな)