Growing Distance/Side Story 1

From Sekaipedia
愛莉の部屋
Momoi Airi
Airi
えっと、明日のスケジュールは……
午前中に打ち合わせがあるから、学校に行くのは午後からね
Momoi Airi
Airi
遥とみのりには、朝練行けないことも伝えてあるし……
Hanasato Minori
Minori
だから……決めたよ
Hanasato Minori
Minori
わたし——
Momoi Airi
Airi
(……いろいろ悩ませちゃったけど、
ちゃんと納得のいく答えを出してくれてよかった)
Momoi Airi
Airi
(わたしも、すごく大切なことに気づかせてもらったし——)
Momoi Airi
Airi
……あ、ふふ。時間どおりね
Momoi Airi
Airi
はーい、もしもし?
Shinonome Ena
Ena
『愛莉、ありがとね!
時間作ってくれて』
Momoi Airi
Airi
気にしないで? 最近会えてなかったし……。
話したいって言ってもらって、嬉しかったわ
Shinonome Ena
Ena
『ほんと? よかった!』
Shinonome Ena
Ena
『それにしても、愛莉達すごく忙しそうだよね。
愛莉なら大丈夫だと思うけど……無理とかしてない?』
Momoi Airi
Airi
心配してくれてありがとう。
アイドルは体が資本だもの、しっかりケアしてるから安心して
Momoi Airi
Airi
ていうか絵名のほうこそ、大丈夫なの?
相変わらず昼と夜が逆転しちゃってるんでしょ?
Shinonome Ena
Ena
『え、私? 全然、大丈夫!
夜型なのももうずっとだし』
Shinonome Ena
Ena
『……あっ。そういえば、
駅前に新しいカフェができたの知ってる?』
Momoi Airi
Airi
カフェ? どんなお店なの?
Shinonome Ena
Ena
『半分がカフェで
もう半分がアンティーク系の雑貨屋なんだけど——』
Shinonome Ena
Ena
『カフェスペースの飾りつけに使われてる物も、
使われてる食器も全部商品だから、
気に入ったものがあれば、同じ物を買えるらしいよ』
Momoi Airi
Airi
へえ……! なんだかおもしろそうなカフェね
Shinonome Ena
Ena
『でしょ? それに、カフェの看板メニューの
紅茶とシフォンケーキも可愛くデコレーションされてて
すごく映えそうなんだ』
Shinonome Ena
Ena
『もしよかったら一緒に行かない?
今週は……さすがに急すぎるかな……』
Momoi Airi
Airi
そうね……今週と、あと来週も
もう仕事で埋まっちゃってるの
Shinonome Ena
Ena
『そっか。まあ、そうだよね』
Shinonome Ena
Ena
『ちなみに、来月はどんな感じ?』
Momoi Airi
Airi
そう、ね……。土日はちょっと難しいわ。
平日の夕方以降だったら時間作れそうだけど……
Momoi Airi
Airi
絵名、学校だものね……
Shinonome Ena
Ena
『だね……。まあ、できたばっかのお店で
繁盛もしてるし、そんな簡単につぶれないでしょ』
Momoi Airi
Airi
そうね。予定があいたら、連絡させてもらうわ
Shinonome Ena
Ena
『うん! 楽しみにしてる!』
Momoi Airi
Airi
(……絵名は、ほんと変わらないわね。
行きたいところを見つけては、誘ってくれて……)
Momoi Airi
Airi
(一番忙しかった時なんて、下手したらひと月近く
顔を合わせなかったこともあったのに)
Momoi Airi
Airi
(その頃は、ちょうど絵名も大変な時期だったから
っていうのもあるんだろうけど……)
Momoi Airi
Airi
(それでも、学校で会った時は
嬉しそうに駆け寄ってきてくれて——)
Momoi Airi
Airi
(……あの笑顔を見ると、久しぶりに会う気まずさも
どっかに吹き飛んでいっちゃったのよね)
Momoi Airi
Airi
(絵名って、自分の気持ちに素直だから、
いい意味で遠慮がないっていうか……)
Momoi Airi
Airi
(そのおかげで、あの頃から変わらず
仲良くできてるんだわ)
Momoi Airi
Airi
……ねえ、絵名
Shinonome Ena
Ena
『ん?』
Momoi Airi
Airi
中学の頃、お互いいろいろあって、
ひと月近く会えなかった時があったじゃない?
Shinonome Ena
Ena
『ああ、あったね……。
でも、それがどうかしたの?』
Momoi Airi
Airi
そうね……。
なんて言えばいいかしら……
Momoi Airi
Airi
……久しぶりに顔を合わせた時、
前となんにも変わらず声をかけてくれてありがとう
Momoi Airi
Airi
あの時——わたしは絵名の笑顔に、すごく助けてもらったの
Shinonome Ena
Ena
『えっ? そ、そうなの?
……なんで?』
Momoi Airi
Airi
なんでって……久しぶりに顔を合わせる時って、
お互い距離感とかちょっとわからなくなっちゃうじゃない?
Shinonome Ena
Ena
『あ、たしかに……』
Shinonome Ena
Ena
『……なんか、懐かしいな』
Shinonome Ena
Ena
『あの頃……ほんとに毎日、テレビ見てたんだ。
愛莉が出てる番組、かたっぱしから全部……』
Shinonome Ena
Ena
『出てる番組がない時は、
録画したやつをもう1回見たりして……』
Momoi Airi
Airi
え、そんなに?
Momoi Airi
Airi
たまにメッセージで感想くれてたから
見てくれてるんだなとは思ってたけど……
Shinonome Ena
Ena
『ふふ。そのおかげで、毎日愛莉に会えてたし
愛莉の笑顔で、つらい気持ちもその時だけは忘れられたんだ』
Momoi Airi
Airi
…………!
Shinonome Ena
Ena
『多分、だからだと思うんだよね。
学校で会った時も全然久しぶりっていう感じがしなくて、
いつもどおり声をかけられたのって』
Momoi Airi
Airi
わたし……絵名が一番つらい時に
そばにいてあげられなかった……って、ずっと思ってた……
Shinonome Ena
Ena
『……ううん、そんなことないよ』
Shinonome Ena
Ena
『愛莉は、ずっとずっとそばで励ましてくれてた。
おかげで、絵も投げ出さないでなんとか続けられたの』
Shinonome Ena
Ena
『……あの時は本当にありがとう、愛莉』
Momoi Airi
Airi
……ちょっとちょっと!
急に泣かせにくるんじゃないわよ!
Shinonome Ena
Ena
『えっ!? だって、愛莉があの頃の話するから!』
Momoi Airi
Airi
仕方ないでしょ!
どうしても伝えたいことがあったんだから!
Shinonome Ena
Ena
『……伝えたいこと?』
Momoi Airi
Airi
ええ!
Momoi Airi
Airi
——絵名、わたしと友達でいてくれてありがとう!
Shinonome Ena
Ena
『…………!』
Shinonome Ena
Ena
『なーんだ、そんなこと?
そんなの、当たり前でしょ』
Momoi Airi
Airi
(……何も変わらないで、『当たり前』でいられたのは
絵名のおかげなんだけどね)
Momoi Airi
Airi
本当にありがとう、絵名
Momoi Airi
Airi
さっきのカフェの話だけど、
スケジュールがあきそうだったら、絶対に連絡するから!
Shinonome Ena
Ena
『うん。またおもしろそうなお店とか、
美味しそうなとこ見つけたら誘うから、覚悟しておいて!』
Momoi Airi
Airi
ええ、望むところよ!

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