MEIKO
さあ、いっくわよー!
レッツ、ダンシング!
レッツ、ダンシング!
えむ・リン・レン
『いえーい♪』
寧々
あ、ミク、リン、ちょっと早いかも!
えむとレンの動きを見て、そろえてみて!
えむとレンの動きを見て、そろえてみて!
KAITO
寧々ちゃん、リズムがわかるように
手を叩いてあげてくれるかな?
手を叩いてあげてくれるかな?
寧々
うん、わかった
寧々
みんな、いくよ?
ワン、ツー、スリー、フォー!
ワン、ツー、スリー、フォー!
えむ
はーいっ☆ 手拍子に合わせて……。
ワン、ツー、スリー、フォー!
ワン、ツー、スリー、フォー!
全員
『ワン、ツー、スリー、フォー!』
寧々
うん、いい感じ!
カイトさん、ありがとう
カイトさん、ありがとう
KAITO
ふふ。どういたしまして
KAITO
(寧々ちゃんやメイコがいるし、
ダンス組は多分大丈夫かな)
ダンス組は多分大丈夫かな)
KAITO
(さて、脚本組は……)
類
主人公と少女の友情が深まるエピソードだけど、
ちょっと薄味な気もするから、
何かしらの要素は付け足しておきたいね
ちょっと薄味な気もするから、
何かしらの要素は付け足しておきたいね
司
うーむ。今回のショーは
家族や友達との絆がテーマだからな……
家族や友達との絆がテーマだからな……
司
少女のおかげで新しい友達が増えるとか、
一緒に暮らしている親戚のおじさんとの距離が縮まる……
とかはどうだ?
一緒に暮らしている親戚のおじさんとの距離が縮まる……
とかはどうだ?
類
うん、いいんじゃないかな。
あとは——
あとは——
KAITO
(あっちはあっちで議論が弾んでるみたいだね)
KAITO
(今度は、どんなショーが生まれるんだろう)
KAITO
(セカイにあった、あの木——
司くん達の想いがキラキラと輝いていた)
司くん達の想いがキラキラと輝いていた)
KAITO
(もしかしたら、司くん達が成長すると、
あのセカイにあった木も、もっと大きくなるのかな)
あのセカイにあった木も、もっと大きくなるのかな)
司
カイト、すまんがちょっと相談に乗ってくれないか?
KAITO
今、話をしていた脚本のことかい?
類
ああ。中盤まではおおよそ固まったんだけど……。
終盤がまだしっくりこなくてね
終盤がまだしっくりこなくてね
司
できれば、カイトの意見も聞かせてほしい!
KAITO
僕でよければ喜んで。
どんなストーリーか教えてくれるかい?
どんなストーリーか教えてくれるかい?
司
ああ。まず主人公は引っ込み思案な少女で、
春休みも読書をして過ごそうと思っていた
春休みも読書をして過ごそうと思っていた
司
だが、少女の両親は
もうすぐ生まれる新しい家族のために
いろいろ準備をしなければいけなくなってしまう
もうすぐ生まれる新しい家族のために
いろいろ準備をしなければいけなくなってしまう
司
そこで、少女はしばらくのあいだ
田舎で暮らしている親戚のおじさん夫婦に
預けられることになるんだ
田舎で暮らしている親戚のおじさん夫婦に
預けられることになるんだ
類
けれど、おじさん夫婦の家に田舎という不慣れな環境——
話し相手になってくれる同年代の子供もいなくて、
少女は寂しさを募らせていく
話し相手になってくれる同年代の子供もいなくて、
少女は寂しさを募らせていく
類
そして寂しさに耐え切れなくなった少女は
大好きな両親がいる家に自力で帰ろうとする
大好きな両親がいる家に自力で帰ろうとする
類
その途中、親戚の家の裏山にある桜の木の下で、
同じ歳くらいの不思議な少女ソメちゃんと出会うんだ
同じ歳くらいの不思議な少女ソメちゃんと出会うんだ
KAITO
ソメちゃん……。
ひょっとして、桜の木がソメイヨシノだから、とか?
ひょっとして、桜の木がソメイヨシノだから、とか?
司
そのとおりだ!
実は、ソメちゃんは桜の精でな
実は、ソメちゃんは桜の精でな
司
だから、手から桜の花を出せるし、
桜の花びらを浮かせて桜吹雪なんかもできてしまう
桜の花びらを浮かせて桜吹雪なんかもできてしまう
司
そんな不思議なソメちゃんと、
少女はだんだん仲良くなっていくんだ
少女はだんだん仲良くなっていくんだ
類
ソメちゃんの正体については、
仲良くなっていく中で少女も察していく感じになると思う
仲良くなっていく中で少女も察していく感じになると思う
類
そして、ソメちゃんと友達になった少女は、
また明日も桜の木の下で会うことを約束して、
おじさん夫婦の家に戻る
また明日も桜の木の下で会うことを約束して、
おじさん夫婦の家に戻る
類
ソメちゃんとの出会いをきっかけに、
少女はだんだんおじさん夫婦にも心を開いていくんだ
少女はだんだんおじさん夫婦にも心を開いていくんだ
類
ところが、山菜を採りに行ったおじさんが
夕方になっても帰ってこない、という事件が起きる
夕方になっても帰ってこない、という事件が起きる
KAITO
なるほど。それで、どうなるんだい?
司
少女は、自分が『またあの山菜を食べたい』と言ったからだと
責任を感じて、自分でもおじさんを探そうとするんだ
責任を感じて、自分でもおじさんを探そうとするんだ
司
だが、夜の山を子供がひとりで人を探すなんて
困難だからな。案の定、少女は迷子になってしまう
困難だからな。案の定、少女は迷子になってしまう
類
心細くて泣きだしてしまう少女。
そこに、桜の精であるソメちゃんが現れる
そこに、桜の精であるソメちゃんが現れる
類
そしてソメちゃんは、行方不明のおじさんを探すために、
山一帯にいる同じソメイヨシノ——
自分のきょうだい達に呼びかけるんだ
山一帯にいる同じソメイヨシノ——
自分のきょうだい達に呼びかけるんだ
KAITO
あ……そういえば、ソメイヨシノは
1本の原木をもとに、接ぎ木で増えたっていう話があるよね
1本の原木をもとに、接ぎ木で増えたっていう話があるよね
類
ああ。
それを今回のショーでは“きょうだい”として描くつもりなんだ
それを今回のショーでは“きょうだい”として描くつもりなんだ
類
フフ。ちなみに、ソメちゃんはえむくんが
やることになっていてね。
このシーンではえむくんがたくさん増える予定だよ
やることになっていてね。
このシーンではえむくんがたくさん増える予定だよ
KAITO
えーっと? えむちゃんが、増える?
司
オレもそれはよくわからんのだが……。
とりあえず続きを聞いてくれ
とりあえず続きを聞いてくれ
類
最後は、ソメちゃんの協力のおかげで、
ケガをして動けなくなっていたおじさんを無事に見つける
ケガをして動けなくなっていたおじさんを無事に見つける
類
そして、桜の花びらによって作られた道しるべを頼りに、
おじさんや自分を探していた村人達のところへたどりつくんだ
おじさんや自分を探していた村人達のところへたどりつくんだ
KAITO
ああ。いいね、とっても感動的なシーンになりそうだ
司
ああ。ここまではかなりいい話として
まとめられたと思っている
まとめられたと思っている
司
だが最後の、ソメちゃんとの別れのシーンが問題でな
類
そこまでのあいだに、かなりの友情を育んでいることもあって、
また春に会いに来る、という約束をするとしても、
どこか悲しさがぬぐえなくてね
また春に会いに来る、という約束をするとしても、
どこか悲しさがぬぐえなくてね
KAITO
んー……。また春に、か
司
ああ。ソメちゃんとは桜が咲いているあいだだけ出会える、
という設定にする予定だからな
という設定にする予定だからな
KAITO
なるほど……
KAITO
(もし僕が、その桜の精だったら……)
KAITO
ソメちゃんもまた少女に会いたいと思っていると思うし、
ただ待っているだけじゃないほうが、いいかもしれないね
ただ待っているだけじゃないほうが、いいかもしれないね
類
……というと?
KAITO
たとえば……次の春はその少女のために
もっと綺麗に咲けるように
いっぱい元気をためておく、とか
もっと綺麗に咲けるように
いっぱい元気をためておく、とか
KAITO
少女が寂しくないように少しでも長く、
花を咲かせておけるようにする、とか
花を咲かせておけるようにする、とか
KAITO
(僕達が、君達や君達の夢のためにできることはないかって
いつも考えているように)
いつも考えているように)
KAITO
きっとソメちゃんも、大切な友達のために
頑張りたいと思うしね
頑張りたいと思うしね
司
なるほど……! では、少女のほうにも
頑張る目標があったほうがよさそうだな
頑張る目標があったほうがよさそうだな
類
そうだね……。あ、これから生まれるきょうだいのために
いいお姉さんになれるように頑張る、
というのはどうだい?
いいお姉さんになれるように頑張る、
というのはどうだい?
司
いいな! ソメちゃんも、
たくさんのきょうだいがいるお姉さんだしな!
たくさんのきょうだいがいるお姉さんだしな!
司
ありがとう、カイト。
おかげで終盤のストーリーもだいぶかたまった!
おかげで終盤のストーリーもだいぶかたまった!
KAITO
ふふ。どういたしまして
KAITO
とってもいいお話になりそうだし、
次のショー、楽しみにしてるよ
次のショー、楽しみにしてるよ
司
ああ! 任せておけ!