The Vivid Old Tale/Story/Chapter 1

From Sekaipedia
ストリートのセカイ
crase cafe
Shiraishi An
An
っは~! 疲れた~!
やっと休憩できるよ~……
Azusawa Kohane
Kohane
たくさん歌ったから、もうヘトヘトだね……。
いつもより早く公園に行ったのに、気づいたら夕方だったし……
MEIKO
MEIKO
みんなお疲れさま。
はい、ご注文のレモネードよ
Shinonome Akito
Akito
あざす……
MEIKO
MEIKO
冬弥くんのは甘さ控えめよ
Aoyagi Toya
Toya
ありがとうございます。
……ふぅ、レモンの酸味が体に染みわたる……
ルカ
あはは!
なんだかみんなマラソンしたあとみたいだね~
ミク
ふふ、ここまでバテてるのって珍しいよね
リン
やっほー!
メイコ、遊びに来たよ~!って……
レン
みんなどうしたの!?
ずいぶんぐったりしてるけど……
Shiraishi An
An
あー、ごめんね心配かけちゃって。
さっきまで合同練習してたからバテちゃってさ~
リン
合同練習?
Shiraishi An
An
うん。次のイベントに向けてね!
今、新達と企画してるイベントがあるんだけど、せっかくだから
時間の合う日は一緒に練習しようってことになってさ
Azusawa Kohane
Kohane
それで、今日初めてやってみたんだけど……。
みんなとってもすごくて……
Shinonome Akito
Akito
三田なんてぶっ倒れるまでやってたな
Aoyagi Toya
Toya
ともかく、みんな相当気合いが入っていたな。
おかげでとてもいい練習になった
レン
へ~! 大変そうだけど、すっごく楽しそうじゃん!
MEIKO
MEIKO
そうね。
新しい仲間とも、同じ気持ちで頑張れてるみたいでよかったわ
Aoyagi Toya
Toya
はい。あのイベントで、少しだけ
RAD WEEKENDの空気に近づけた気がします
Aoyagi Toya
Toya
これも彰人がヒントを出してくれたおかげだな
レン
さっすが彰人!
ヒューヒュー!
Shinonome Akito
Akito
なんだよその盛り上げかた……
Shinonome Akito
Akito
つーか、まだ全然追いつけちゃいねえ。
あの夜に追いついて超えるには、足りねえところばっかりだ
MEIKO
MEIKO
足りないものが何かを
ちゃんと理解する必要があるから、そこも大変よね
ルカ
この前『空気』がヒントになったみたいに、
また何かヒントを見つけられたりするといいんだけどねー
リン
……ヒント……。
う~むむむ
リン
——あっ!
Azusawa Kohane
Kohane
どうしたの? リンちゃん
リン
わたし、ひらめいちゃったっ!
リン
そのヒントって、
RAD WEEKENDの映像を見てたら見つかったんだよね?
リン
なら、もう1回見たら
他にもヒントが見つかるんじゃない!?
Azusawa Kohane
Kohane
え?
リン
ほら、彰人くんは映像を見て、
イベントの空気が違うってことに気づいたから
ヒントを見つけられたんでしょ?
リン
ならそれと同じように、もっと歌とかパフォーマンス以外に
注目してみたら、何か新しい発見ができるかも!
リン
……うんっ! わたしってば名推理しちゃった!
レン
ん~、でもみんなは今まで何回も見てるんでしょ?
今更見つかるのかな?
Aoyagi Toya
Toya
可能性は低いかもしれないが……。
しかし、試してみる価値はあると思う
レン
え、そう?
Aoyagi Toya
Toya
俺も、あの映像を何度か見ているが……。
いつも歌唱技術やパフォーマンスに
圧倒されてしまっていたからな
Aoyagi Toya
Toya
リンの言うように、意識して
『RAD WEEKENDは普通のイベントと何が違うのか』
を確認することで、何か新しい発見があるかもしれない
レン
なるほど~!
なんか、冬弥が言うと説得力あるな!
リン
ちょっとレン~?
それどういう意味~?
レン
わ! 冗談だってば冗談!
Shiraishi An
An
ふふっ。
ほら、ふたりとも仲良く仲良く!
Shiraishi An
An
それじゃあ——改めてみんなで見よっか!
ミク達も一緒にどう?
ルカ
えーいいの?
見せてもらうタイミング逃しちゃってたから嬉しいな~
KAITO
KAITO
うんうん!
レンもリンも『とにかくすごい』しか言わないから、
よくわかんなかったしね~
MEIKO
MEIKO
そういうことなら、鑑賞会にしましょうか。
ええと……前のイベントで使ったスクリーンがあるから、
それに映すのがよさそうね
リン
やったー!
みんな、一緒に準備しよう!
ミク
それじゃ——再生するよ
凪の声
♪————————っ!!
ルカ
……うっわ~!
すっごい歌……!
KAITO
KAITO
パワフルだね~!
圧倒されるっていうか、引きこまれるなぁ
レン
でしょでしょ!?
オレも最初聴いた時、びっくりしちゃったよ!
KAITO
KAITO
うんうん。まさか、こんなにすごいなんてね……!
体がウズウズしちゃうよ!
リン
も~、みんな、シー!
レン・ルカ・KAITO
『はーい』
MEIKO
MEIKO
まったく……。
みんな、いつでも賑やかなんだから
ミク
ふふ、そうだね
ミク
それに比べて、こはね達は——
Azusawa Kohane
Kohane
(いつも、歌ばっかり注目しちゃってたけど……。
今日はセトリを意識して見てみようかな)
Azusawa Kohane
Kohane
(——最初の1曲の、たったワンフレーズで
ライブハウス全体の空気がガラッと変わって、
そこからはもうグイグイ引きこまれていくんだよね)
Azusawa Kohane
Kohane
(……お客さんをちょっとでも飽きさせないように、
曲の繋ぎもすごくスムーズで……)
Azusawa Kohane
Kohane
(でも……やっぱり……)
Azusawa Kohane
Kohane
(……この、凪さんっていう人から、
目が離せないな……)
Shinonome Akito
Akito
(……ライティングもすげえな。
これのおかげで、さして大きくないハコが
とんでもなく雰囲気のあるステージになってやがる)
Shinonome Akito
Akito
(そんで、その中心にいるのは——)
Aoyagi Toya
Toya
(この人の、観客を惹きつける力の正体は……歌唱力なのか?
いや……だが、それ以外にも何か関係しているような気もする)
Aoyagi Toya
Toya
(彼女を中心に、熱狂と……何か、他の感情が
渦を巻いているような……。
これは、もしかすると——)
Shiraishi An
An
(ヒント……ヒント……)
Shiraishi An
An
(あ——ダメダメ。見入っちゃう。
今は冷静にヒントを探さなきゃいけないのに)
Shiraishi An
An
(にしても……RAD WEEKENDは、本当にすごいな)
Shiraishi An
An
(何回も見てるはずなのに、見てるだけでドキドキして……。
気づいたら、もう虜になってる)
Shiraishi An
An
…………ふふっ
Shiraishi An
An
やっぱり、すごいな……
Shinonome Akito
Akito
……で、どうだ?
何か気づいたことはあったか?
リン
うん! えーっとえーっと……
すっごくかっこよかった!
レン
あのなー、ヒント探しはどうしたんだよ
リン
うっ!
だ、だって気づいたら夢中になっちゃってたんだもん!
Shiraishi An
An
あはは! リンちゃんらしいな~
Azusawa Kohane
Kohane
でも、その気持ちわかるな。
私も最初見た時そうだったし
ミク
だからこそ、伝説のイベントなわけだしね
Aoyagi Toya
Toya
——ヒント、と言えるかはわからないが、
ひとつ感じたことがある
Shiraishi An
An
お、なになに!?
Aoyagi Toya
Toya
気のせいかもしれないが……。
参加者全員の歌声の中にどこか——
寂しさを感じたような気がした
Shinonome Akito
Akito
寂しさ……?
Aoyagi Toya
Toya
ああ。
……なんとなくだがな
リン
えー?
みんなすっごく盛り上がってたのに?
Shiraishi An
An
……もしかしたら、父さん達がこのあと解散したからかな
Shiraishi An
An
あの日、ステージに立ってた人達は、
これが父さん達の最後のイベントだって
みんな知ってたのかもしれないな
レン
あ、RADderの最後のイベントだから、
すっごく気合い入れて歌ってくれたってこと?
Aoyagi Toya
Toya
……そういうことなんだろうか……
Shinonome Akito
Akito
まあ、最後だから必死に歌ってたってのは
ありそうだが……
Aoyagi Toya
Toya
ただ、それだけであそこまでのイベントができたかと言うと……。
まだわからないな
Azusawa Kohane
Kohane
必死に歌ってたって言えば……。
最初にソロで歌ってた凪さんがすごく印象的だったな
Azusawa Kohane
Kohane
それで、なんとなくだけど……。
このイベントの中心にいるのは、
大河さんの妹さん——凪さんなのかなって思ったよ
Shiraishi An
An
あ、こはねも?
実は私もちょっとそう思ってたんだ
Shinonome Akito
Akito
……たしかにな。
それはオレも感じた
Shinonome Akito
Akito
RAD WEEKENDの空気は、
1曲目から他のイベントと違う。
つまり……あの空気を作ったのは、あの凪って人なんだろうな
Aoyagi Toya
Toya
……そうだな
Aoyagi Toya
Toya
この前のイベントで、俺達全員でどうにか作り出したあの空気を、
凪さんという人はたったひとりで——
しかもイベントの一発目の曲で、生み出していたようにも見えた
Shiraishi An
An
うん。しかもそれだけじゃなくって、
凪さんが周りの人をいい感じにやる気にさせてる
みたいに見えたんだよね
Shiraishi An
An
うちの父さんと大河おじさんも、
登場した時は力入った顔してたけど、
凪さんが声かけたら、少し肩の力抜けてたみたいだしさ
Shiraishi An
An
あの凪さんのパワーは本当にすごかったよね!
いつ見てもかっこいいなって思うよ
リン
あ……そういえば杏ちゃんって、
その凪さんっていう人と知りあいなんだよね?
Shiraishi An
An
うん。そうだよ。
私がすごく小さい頃から面倒見てくれてたんだ
Shiraishi An
An
父さんや大河おじさんと一緒に、
よく歌の練習を見てくれたりして……。
あの頃は本当に楽しかったな
Azusawa Kohane
Kohane
……ねえ杏ちゃん。
よかったら、その時の話、もうちょっと聞かせてくれない?
Shiraishi An
An
え? 凪さんと練習してた時のこと?
Azusawa Kohane
Kohane
うん。凪さんのことがもっとわかったら、
RAD WEEKENDのことももっと深く
わかるんじゃないかなって思って
Aoyagi Toya
Toya
そうだな。俺からも頼みたい
Aoyagi Toya
Toya
凪さんという人がRAD WEEKENDの
中心人物だとしたら——
知ることには、とても大きな意味があると思う
Shinonome Akito
Akito
だな。
それに……
Shinonome Akito
Akito
あれだけの歌を歌えて、謙さんや大河さんと肩を並べてた人が
どんな人なのか……個人的にも興味がある
ミク
——うん。
私もそこは、興味あるな
リン
聞きたい聞きたーい!
Shiraishi An
An
凪さんについて……か。
んー、話すのはいいけど、どこから話そうかな……
Shiraishi An
An
あ、それじゃあ、あの時のこととかどうかな
Shiraishi An
An
凪さんは——本当に、いつだってかっこよかったんだよ

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