< The Vivid Old Tale | Story
ストリートのセカイ
crase cafe
An
っは~! 疲れた~!
やっと休憩できるよ~……
やっと休憩できるよ~……
Kohane
たくさん歌ったから、もうヘトヘトだね……。
いつもより早く公園に行ったのに、気づいたら夕方だったし……
いつもより早く公園に行ったのに、気づいたら夕方だったし……
MEIKO
みんなお疲れさま。
はい、ご注文のレモネードよ
はい、ご注文のレモネードよ
Akito
あざす……
MEIKO
冬弥くんのは甘さ控えめよ
Toya
ありがとうございます。
……ふぅ、レモンの酸味が体に染みわたる……
……ふぅ、レモンの酸味が体に染みわたる……
ルカ
あはは!
なんだかみんなマラソンしたあとみたいだね~
なんだかみんなマラソンしたあとみたいだね~
ミク
ふふ、ここまでバテてるのって珍しいよね
リン
やっほー!
メイコ、遊びに来たよ~!って……
メイコ、遊びに来たよ~!って……
レン
みんなどうしたの!?
ずいぶんぐったりしてるけど……
ずいぶんぐったりしてるけど……
An
あー、ごめんね心配かけちゃって。
さっきまで合同練習してたからバテちゃってさ~
さっきまで合同練習してたからバテちゃってさ~
リン
合同練習?
An
うん。次のイベントに向けてね!
今、新達と企画してるイベントがあるんだけど、せっかくだから
時間の合う日は一緒に練習しようってことになってさ
今、新達と企画してるイベントがあるんだけど、せっかくだから
時間の合う日は一緒に練習しようってことになってさ
Kohane
それで、今日初めてやってみたんだけど……。
みんなとってもすごくて……
みんなとってもすごくて……
Akito
三田なんてぶっ倒れるまでやってたな
Toya
ともかく、みんな相当気合いが入っていたな。
おかげでとてもいい練習になった
おかげでとてもいい練習になった
レン
へ~! 大変そうだけど、すっごく楽しそうじゃん!
MEIKO
そうね。
新しい仲間とも、同じ気持ちで頑張れてるみたいでよかったわ
新しい仲間とも、同じ気持ちで頑張れてるみたいでよかったわ
Toya
はい。あのイベントで、少しだけ
RAD WEEKENDの空気に近づけた気がします
RAD WEEKENDの空気に近づけた気がします
Toya
これも彰人がヒントを出してくれたおかげだな
レン
さっすが彰人!
ヒューヒュー!
ヒューヒュー!
Akito
なんだよその盛り上げかた……
Akito
つーか、まだ全然追いつけちゃいねえ。
あの夜に追いついて超えるには、足りねえところばっかりだ
あの夜に追いついて超えるには、足りねえところばっかりだ
MEIKO
足りないものが何かを
ちゃんと理解する必要があるから、そこも大変よね
ちゃんと理解する必要があるから、そこも大変よね
ルカ
この前『空気』がヒントになったみたいに、
また何かヒントを見つけられたりするといいんだけどねー
また何かヒントを見つけられたりするといいんだけどねー
リン
……ヒント……。
う~むむむ
う~むむむ
リン
——あっ!
Kohane
どうしたの? リンちゃん
リン
わたし、ひらめいちゃったっ!
リン
そのヒントって、
RAD WEEKENDの映像を見てたら見つかったんだよね?
RAD WEEKENDの映像を見てたら見つかったんだよね?
リン
なら、もう1回見たら
他にもヒントが見つかるんじゃない!?
他にもヒントが見つかるんじゃない!?
Kohane
え?
リン
ほら、彰人くんは映像を見て、
イベントの空気が違うってことに気づいたから
ヒントを見つけられたんでしょ?
イベントの空気が違うってことに気づいたから
ヒントを見つけられたんでしょ?
リン
ならそれと同じように、もっと歌とかパフォーマンス以外に
注目してみたら、何か新しい発見ができるかも!
注目してみたら、何か新しい発見ができるかも!
リン
……うんっ! わたしってば名推理しちゃった!
レン
ん~、でもみんなは今まで何回も見てるんでしょ?
今更見つかるのかな?
今更見つかるのかな?
Toya
可能性は低いかもしれないが……。
しかし、試してみる価値はあると思う
しかし、試してみる価値はあると思う
レン
え、そう?
Toya
俺も、あの映像を何度か見ているが……。
いつも歌唱技術やパフォーマンスに
圧倒されてしまっていたからな
いつも歌唱技術やパフォーマンスに
圧倒されてしまっていたからな
Toya
リンの言うように、意識して
『RAD WEEKENDは普通のイベントと何が違うのか』
を確認することで、何か新しい発見があるかもしれない
『RAD WEEKENDは普通のイベントと何が違うのか』
を確認することで、何か新しい発見があるかもしれない
レン
なるほど~!
なんか、冬弥が言うと説得力あるな!
なんか、冬弥が言うと説得力あるな!
リン
ちょっとレン~?
それどういう意味~?
それどういう意味~?
レン
わ! 冗談だってば冗談!
An
ふふっ。
ほら、ふたりとも仲良く仲良く!
ほら、ふたりとも仲良く仲良く!
An
それじゃあ——改めてみんなで見よっか!
ミク達も一緒にどう?
ミク達も一緒にどう?
ルカ
えーいいの?
見せてもらうタイミング逃しちゃってたから嬉しいな~
見せてもらうタイミング逃しちゃってたから嬉しいな~
KAITO
うんうん!
レンもリンも『とにかくすごい』しか言わないから、
よくわかんなかったしね~
レンもリンも『とにかくすごい』しか言わないから、
よくわかんなかったしね~
MEIKO
そういうことなら、鑑賞会にしましょうか。
ええと……前のイベントで使ったスクリーンがあるから、
それに映すのがよさそうね
ええと……前のイベントで使ったスクリーンがあるから、
それに映すのがよさそうね
リン
やったー!
みんな、一緒に準備しよう!
みんな、一緒に準備しよう!
ミク
それじゃ——再生するよ
凪の声
♪————————っ!!
ルカ
……うっわ~!
すっごい歌……!
すっごい歌……!
KAITO
パワフルだね~!
圧倒されるっていうか、引きこまれるなぁ
圧倒されるっていうか、引きこまれるなぁ
レン
でしょでしょ!?
オレも最初聴いた時、びっくりしちゃったよ!
オレも最初聴いた時、びっくりしちゃったよ!
KAITO
うんうん。まさか、こんなにすごいなんてね……!
体がウズウズしちゃうよ!
体がウズウズしちゃうよ!
リン
も~、みんな、シー!
レン・ルカ・KAITO
『はーい』
MEIKO
まったく……。
みんな、いつでも賑やかなんだから
みんな、いつでも賑やかなんだから
ミク
ふふ、そうだね
ミク
それに比べて、こはね達は——
Kohane
(いつも、歌ばっかり注目しちゃってたけど……。
今日はセトリを意識して見てみようかな)
今日はセトリを意識して見てみようかな)
Kohane
(——最初の1曲の、たったワンフレーズで
ライブハウス全体の空気がガラッと変わって、
そこからはもうグイグイ引きこまれていくんだよね)
ライブハウス全体の空気がガラッと変わって、
そこからはもうグイグイ引きこまれていくんだよね)
Kohane
(……お客さんをちょっとでも飽きさせないように、
曲の繋ぎもすごくスムーズで……)
曲の繋ぎもすごくスムーズで……)
Kohane
(でも……やっぱり……)
Kohane
(……この、凪さんっていう人から、
目が離せないな……)
目が離せないな……)
Akito
(……ライティングもすげえな。
これのおかげで、さして大きくないハコが
とんでもなく雰囲気のあるステージになってやがる)
これのおかげで、さして大きくないハコが
とんでもなく雰囲気のあるステージになってやがる)
Akito
(そんで、その中心にいるのは——)
Toya
(この人の、観客を惹きつける力の正体は……歌唱力なのか?
いや……だが、それ以外にも何か関係しているような気もする)
いや……だが、それ以外にも何か関係しているような気もする)
Toya
(彼女を中心に、熱狂と……何か、他の感情が
渦を巻いているような……。
これは、もしかすると——)
渦を巻いているような……。
これは、もしかすると——)
An
(ヒント……ヒント……)
An
(あ——ダメダメ。見入っちゃう。
今は冷静にヒントを探さなきゃいけないのに)
今は冷静にヒントを探さなきゃいけないのに)
An
(にしても……RAD WEEKENDは、本当にすごいな)
An
(何回も見てるはずなのに、見てるだけでドキドキして……。
気づいたら、もう虜になってる)
気づいたら、もう虜になってる)
An
…………ふふっ
An
やっぱり、すごいな……
Akito
……で、どうだ?
何か気づいたことはあったか?
何か気づいたことはあったか?
リン
うん! えーっとえーっと……
すっごくかっこよかった!
すっごくかっこよかった!
レン
あのなー、ヒント探しはどうしたんだよ
リン
うっ!
だ、だって気づいたら夢中になっちゃってたんだもん!
だ、だって気づいたら夢中になっちゃってたんだもん!
An
あはは! リンちゃんらしいな~
Kohane
でも、その気持ちわかるな。
私も最初見た時そうだったし
私も最初見た時そうだったし
ミク
だからこそ、伝説のイベントなわけだしね
Toya
——ヒント、と言えるかはわからないが、
ひとつ感じたことがある
ひとつ感じたことがある
An
お、なになに!?
Toya
気のせいかもしれないが……。
参加者全員の歌声の中にどこか——
寂しさを感じたような気がした
参加者全員の歌声の中にどこか——
寂しさを感じたような気がした
Akito
寂しさ……?
Toya
ああ。
……なんとなくだがな
……なんとなくだがな
リン
えー?
みんなすっごく盛り上がってたのに?
みんなすっごく盛り上がってたのに?
An
……もしかしたら、父さん達がこのあと解散したからかな
An
あの日、ステージに立ってた人達は、
これが父さん達の最後のイベントだって
みんな知ってたのかもしれないな
これが父さん達の最後のイベントだって
みんな知ってたのかもしれないな
レン
あ、RADderの最後のイベントだから、
すっごく気合い入れて歌ってくれたってこと?
すっごく気合い入れて歌ってくれたってこと?
Toya
……そういうことなんだろうか……
Akito
まあ、最後だから必死に歌ってたってのは
ありそうだが……
ありそうだが……
Toya
ただ、それだけであそこまでのイベントができたかと言うと……。
まだわからないな
まだわからないな
Kohane
必死に歌ってたって言えば……。
最初にソロで歌ってた凪さんがすごく印象的だったな
最初にソロで歌ってた凪さんがすごく印象的だったな
Kohane
それで、なんとなくだけど……。
このイベントの中心にいるのは、
大河さんの妹さん——凪さんなのかなって思ったよ
このイベントの中心にいるのは、
大河さんの妹さん——凪さんなのかなって思ったよ
An
あ、こはねも?
実は私もちょっとそう思ってたんだ
実は私もちょっとそう思ってたんだ
Akito
……たしかにな。
それはオレも感じた
それはオレも感じた
Akito
RAD WEEKENDの空気は、
1曲目から他のイベントと違う。
つまり……あの空気を作ったのは、あの凪って人なんだろうな
1曲目から他のイベントと違う。
つまり……あの空気を作ったのは、あの凪って人なんだろうな
Toya
……そうだな
Toya
この前のイベントで、俺達全員でどうにか作り出したあの空気を、
凪さんという人はたったひとりで——
しかもイベントの一発目の曲で、生み出していたようにも見えた
凪さんという人はたったひとりで——
しかもイベントの一発目の曲で、生み出していたようにも見えた
An
うん。しかもそれだけじゃなくって、
凪さんが周りの人をいい感じにやる気にさせてる
みたいに見えたんだよね
凪さんが周りの人をいい感じにやる気にさせてる
みたいに見えたんだよね
An
うちの父さんと大河おじさんも、
登場した時は力入った顔してたけど、
凪さんが声かけたら、少し肩の力抜けてたみたいだしさ
登場した時は力入った顔してたけど、
凪さんが声かけたら、少し肩の力抜けてたみたいだしさ
An
あの凪さんのパワーは本当にすごかったよね!
いつ見てもかっこいいなって思うよ
いつ見てもかっこいいなって思うよ
リン
あ……そういえば杏ちゃんって、
その凪さんっていう人と知りあいなんだよね?
その凪さんっていう人と知りあいなんだよね?
An
うん。そうだよ。
私がすごく小さい頃から面倒見てくれてたんだ
私がすごく小さい頃から面倒見てくれてたんだ
An
父さんや大河おじさんと一緒に、
よく歌の練習を見てくれたりして……。
あの頃は本当に楽しかったな
よく歌の練習を見てくれたりして……。
あの頃は本当に楽しかったな
Kohane
……ねえ杏ちゃん。
よかったら、その時の話、もうちょっと聞かせてくれない?
よかったら、その時の話、もうちょっと聞かせてくれない?
An
え? 凪さんと練習してた時のこと?
Kohane
うん。凪さんのことがもっとわかったら、
RAD WEEKENDのことももっと深く
わかるんじゃないかなって思って
RAD WEEKENDのことももっと深く
わかるんじゃないかなって思って
Toya
そうだな。俺からも頼みたい
Toya
凪さんという人がRAD WEEKENDの
中心人物だとしたら——
知ることには、とても大きな意味があると思う
中心人物だとしたら——
知ることには、とても大きな意味があると思う
Akito
だな。
それに……
それに……
Akito
あれだけの歌を歌えて、謙さんや大河さんと肩を並べてた人が
どんな人なのか……個人的にも興味がある
どんな人なのか……個人的にも興味がある
ミク
——うん。
私もそこは、興味あるな
私もそこは、興味あるな
リン
聞きたい聞きたーい!
An
凪さんについて……か。
んー、話すのはいいけど、どこから話そうかな……
んー、話すのはいいけど、どこから話そうかな……
An
あ、それじゃあ、あの時のこととかどうかな
An
凪さんは——本当に、いつだってかっこよかったんだよ