At the Very Least, to Me: Side Story (Part 1)
サイドストーリー（前編） (Saido Sutoorii (Zenpen))
Character appearances:
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セカイの狭間
Miku
……あっ
Miku
今……想いの音色が聴こえた。
またどこかで、セカイが生まれたのかな？
またどこかで、セカイが生まれたのかな？
Miku
ふふ、どんな想いのセカイなんだろう？
どんなわたしがいるのかも気になるな
どんなわたしがいるのかも気になるな
Miku
んー……ちょっとだけ様子を見に——
Miku
今のは……
Miku
……あ、見つけた！
やっぱり、想いの欠片の光だったんだ
やっぱり、想いの欠片の光だったんだ
Miku
でもこの欠片、なんだかくすんでる？
ヒビまで入っちゃってるし……
ヒビまで入っちゃってるし……
Miku
もとになってる想いが、すごく不安定なのかな。
今にも消えちゃいそう……
今にも消えちゃいそう……
Miku
…………
Miku
こうやって出会えたのには、何か意味があるのかも
Miku
……この想いを生んだ、どこかのキミ。
キミの想いに、少し触れさせてもらうね
キミの想いに、少し触れさせてもらうね
？？？
Miku
……ふう。欠片がだいぶ不安定だったから心配だったけど、
ちゃんと来られたみたい
ちゃんと来られたみたい
Miku
それにしても、なんだか暗くて寂しいな……
Miku
あ……紙が落ちてる
Miku
『進路』……『第一希望』……。
何も書いてない……
何も書いてない……
Miku
こっちの紙は……テストの答案用紙？
Miku
マークを塗りつぶして答えるものみたいだけど、
途中までしか塗ってない……
途中までしか塗ってない……
Miku
ん？ 向こうには、パソコンがある
Miku
えっと、『学生時代に頑張ったこと』……『志望動機』……？
……どっちも何も書いてない
……どっちも何も書いてない
Miku
うーん。
想いの持ち主は、学校に通ってる子なのかな？
想いの持ち主は、学校に通ってる子なのかな？
Miku
あ、ここにもパソコンがある。
こっちはたくさん字が書いてあるけど……
こっちはたくさん字が書いてあるけど……
画面の文字
『言われるがまま、その背中を追って路地に入る。
その瞬間、思わずぎゅっと目をつぶってしまった』
その瞬間、思わずぎゅっと目をつぶってしまった』
画面の文字
『夕陽だ。
燃えるような夕陽が、路地をまばゆい朱色に染めていた——』
燃えるような夕陽が、路地をまばゆい朱色に染めていた——』
Miku
……これ、もしかして小説？
Miku
でも、この映ってるページまでしかない。
書きかけなのかな……
書きかけなのかな……
Miku
あ、向こうにも何かある
Miku
わあ、可愛い動物のイラストだ！
それに、こっちにはマンガもある！
それに、こっちにはマンガもある！
Miku
でも……このイラスト、色塗りが途中になってる。
マンガのほうも、途中のコマで終わってる……
マンガのほうも、途中のコマで終わってる……
Miku
うーん……。
ひょっとして飽きっぽい誰かの、想いの欠片なのかな？
ひょっとして飽きっぽい誰かの、想いの欠片なのかな？
Miku
……もうちょっと、見てまわってみよう
Miku
……この欠片のセカイ、本当にいろんな物があったな。
描きかけの油絵とか、片方しかない運動靴とか……
描きかけの油絵とか、片方しかない運動靴とか……
Miku
そっか……『誰か』じゃなくて、
たくさんの人の想いが集まって欠片になってるのかも
たくさんの人の想いが集まって欠片になってるのかも
Miku
ということは、それだけたくさんの人が
同じ想いを抱えてるっていうことになるけど……
同じ想いを抱えてるっていうことになるけど……
Miku
なんで、はっきりとした想いを感じられないんだろう？
Miku
セカイになってない想いの欠片でも、
もう少し想いを感じられるはずなのに——
もう少し想いを感じられるはずなのに——
Miku
それに、たくさんの人の想いが集まってるなら
自然と大きくて強い想いになりそうなんだけど……
自然と大きくて強い想いになりそうなんだけど……
Miku
なのに、ここにある物からは
ほとんど何も感じられない……
ほとんど何も感じられない……
Miku
……そういえばこの想いの欠片、なんだかくすんでたっけ？
それも何か関係あるのかな？
それも何か関係あるのかな？
Miku
……もっと集中して、想いを感じてみよう
Miku
（どんなに弱くても、小さくても、きっとどこかに……）
Miku
……！
Miku
今ちょっとだけ、想いを感じられたかも！
Miku
たしかこの辺り——……わっ！！
Miku
こんなところに、楽譜が散らばってるなんて……。
踏んじゃわなくてよかった
踏んじゃわなくてよかった
Miku
えっと……落ちてたのはこの４枚だけかな
Miku
（今まで見つけたものと同じでこの曲も作りかけみたい。
それに……）
それに……）
Miku
このメロディー、なんだか苦しい。
これは……この苦しい想いは、なんだろう……
これは……この苦しい想いは、なんだろう……
Miku
……何かに迷って、悩んでる……？
Miku
（曲作りで迷ってるっていう感じじゃなさそうだけど……）
Miku
でも、やっと想いを感じられるものを見つけられた
Miku
もっと他にも……あっ
Miku
音楽プレイヤーだ！
……よかった、動くみたい
……よかった、動くみたい
Miku
（音楽に関する物からのほうが、
他の物より、想いを感じられるかもしれない）
他の物より、想いを感じられるかもしれない）
Miku
——想いの持ち主さん。
ちょっとだけ、キミの想いに触れさせてね
ちょっとだけ、キミの想いに触れさせてね
Miku
……小さいけど、音が聴こえる
Miku
これは……歌声？
男の子、かな。アカペラで歌ってるみたいだけど……
男の子、かな。アカペラで歌ってるみたいだけど……
Miku
そっか……！
きっと練習のために録音したんだ
きっと練習のために録音したんだ
Miku
あ……今のところちょっとだけ音が外れてた
Miku
（歌ってる子も気づいてるみたい。
音が外れちゃったところを、何度も何度も練習してる）
音が外れちゃったところを、何度も何度も練習してる）
Miku
（きっと、すごく努力家なんだろうな）
Miku
（でも……この歌声からは、いらだちと焦りをすごく感じる）
Miku
——欠片のもとになった想いがなんなのか、
なんとなくわかってきた気がする
なんとなくわかってきた気がする
Miku
（この欠片のセカイを作ってる想いは、きっと——）