Connecting Painful Hope/Story/Chapter 6

From Sekaipedia
宮益坂女子学園 屋上
長谷川
『コメントって……もしかして、見たんですか?』
Kiritani Haruka
Haruka
……はい。
動画に……ネガティブなコメントがついているのを見ました
長谷川
『——違います!
私、やってません!』
Hanasato Minori
Minori
……!!
長谷川
『私、誰の曲も真似してなんか……っ!』
Kiritani Haruka
Haruka
——大丈夫ですよ、長谷川さん。
私達は、そんなコメント信じてません
Momoi Airi
Airi
注目を浴びると、変なこと言い出す人が増えますからね。
まったく、デマを流した犯人を見つけたら、
コテンパンにこらしめてやりたいわ!
Hinomori Shizuku
Shizuku
ええ。だから、安心してください
長谷川
『よかった……。
皆さんにまで疑われたら、私……』
Hanasato Minori
Minori
…………
Hanasato Minori
Minori
あ、あの……長谷川さん!
Hanasato Minori
Minori
いろんな人に疑われて、酷いことまで言われて、
今、すごくつらいと思うんですけど……
Hanasato Minori
Minori
——応援してくれる人がいるってことだけは、
忘れないでください!
長谷川
『え……?』
Hanasato Minori
Minori
その……わたしも、いろんな人にいろんなことを言われて、
つらくなったことがあったんですけど……
Hanasato Minori
Minori
でも——そんなわたしでも、
応援してくれる人がいました
Hanasato Minori
Minori
その人達のほうを向いたら、
また、進む勇気をもらえたんです……!
長谷川
『花里さん……』
Hanasato Minori
Minori
だから——
Hanasato Minori
Minori
ゆっくり休んで落ち着いたら、
また曲を作ってください!
Hanasato Minori
Minori
わたしも、長谷川さんを応援してる人達も、
長谷川さんらしいキラキラした曲を楽しみに待ってます!
長谷川
『…………』
長谷川
『……っ、ありがとうございます……』
長谷川
『でも……ダメなんです……』
Hanasato Minori
Minori
え?
長谷川
『曲を作ろうって、思うんですけど……。
どうしても……手が、動かないんです……』
Kiritani Haruka
Haruka
……え?
Kiritani Haruka
Haruka
……手が動かないって……どういうことですか?
長谷川
『コメントに、あったんです』
長谷川
『……真剣に悩んでる時に流れてくると、本当にイライラする』
長谷川
『……聴きたくないのに、みんなが流すから教室にいられない。
苦しい、って……』
Hanasato Minori
Minori
そんな……!
長谷川
『……最近、自分の部屋で、作曲しようって机に向かうと、
体が震え出すんです……』
長谷川
『希望を届けたいって思って曲を作ってたのに、
私の曲が、いろんな人を傷つけてる気がして……』
長谷川
『頭では作りたいって思ってるんですけど、
どうしても手が動かないんです……!』
Kiritani Haruka
Haruka
……!!
Kiritani Haruka
Haruka
足が……動かない……?
Kiritani Haruka
Haruka
ど……どうして?
なんで動かないの?
Kiritani Haruka
Haruka
…………
長谷川
『でも、皆さんの曲は最後までちゃんと
仕上げたいって思ってるんです』
長谷川
『だから……すみません。
もう少しだけ、時間をもらっても、いいですか……』
Kiritani Haruka
Haruka
…………っ
ステージのセカイ
ミク
そんなことになっちゃったんだね……
Hanasato Minori
Minori
うん……
Hanasato Minori
Minori
わたし……なんにもできなかったな……
Kiritani Haruka
Haruka
……そんなことないよ。応援してくれる人のことを
忘れないでほしいっていうみのりの言葉は、
ちゃんと届いたと思う
Hanasato Minori
Minori
……うん……ありがとう……
リン
う~、なんとかできないかな!?
このままじゃ、その子がかわいそうだよ~!
Momoi Airi
Airi
そうね……。
でも正直、なんて言えばいいのかわからないわ……
Momoi Airi
Airi
応援する人がいてくれるってわかってても、
体が動かないんじゃ……
Hinomori Shizuku
Shizuku
そうね。
それに……今の長谷川さんの状態って、その……
Hanasato Minori
Minori
あ……
Kiritani Haruka
Haruka
……うん。そうだね
Kiritani Haruka
Haruka
あれは——前の私と同じ状態だと思う
レン
……どういうこと?
Kiritani Haruka
Haruka
私も、『怖い』っていう気持ちのせいで、
体が動かなくなったことがあるから
リン
あ、そっか……!
理由は違うけど、遥ちゃんも……
Kiritani Haruka
Haruka
うん。
ステージに向かおうとすると、
足が動かなくなっちゃったんだ
Kiritani Haruka
Haruka
そんな顔しないで。
私は、みんなのおかげで克服することができたから
Kiritani Haruka
Haruka
だけど……だから余計に、
長谷川さんにどう声をかけたらいいのか、わからないんだ
Kiritani Haruka
Haruka
私も、たくさんの人から応援の言葉をもらったけど——
ASRUNメンバー達
遥ならきっと大丈夫!
少し休んだら前みたいにステージに立てるよ!
ASRUNメンバー達
責任感が強いから気にするのはわかるけど、
もっとリラックスしていいんだよ
マネージャー
専門の先生にもお願いをしたから、
一緒に頑張っていきましょうね
Kiritani Haruka
Haruka
その言葉に励まされても、いろんな人に診てもらっても……。
結局、足の震えは止められなかった
ミク
…………
Hanasato Minori
Minori
遥ちゃん……
Hinomori Shizuku
Shizuku
みんなで遥ちゃんにライブを届けたみたいに、
長谷川さんにも、何か届けられたらいいんだけれど……
Momoi Airi
Airi
それはたしかに手ではあるわね。
でも……
Momoi Airi
Airi
きっと、今の長谷川さんにとって大事なのは、
『自分の曲で誰かに希望を届けられている』って実感なのよね
Momoi Airi
Airi
でもそれはもう、みのりが伝えてるから——
Hanasato Minori
Minori
…………
KAITO
KAITO
……これはなかなか難題だね
MEIKO
MEIKO
そうね。『怖い』っていう気持ちで動き出せなく
なっちゃった子が、どうすればいいのかっていうと……
ミク
あ……
ミク
——そうだ!
KAITO
KAITO
え? ミクちゃん、もう思いついたのかい?
Hanasato Minori
Minori
どうすればいいのっ!?
ミク
えっと……!
ミク
こ——こちょこちょするのはどうかな!?
MEIKO
MEIKO
なるほどそれなら思わずビクっと……って、
反射で動いても意味ないでしょ!
レン
急にどうしたの? ミクちゃん
ミク
えっと……前にルカちゃんにこちょこちょって
してもらって緊張がほぐれたの。
だから、どうかなって思ったんだけど……
Hanasato Minori
Minori
あははっ! そうだったんだ!
Momoi Airi
Airi
ふふっ。実際ちょっと和んだし、効果はあるみたいね!
ミク
えへへ……
ルカ
あら、私の十八番を取り入れてもらって嬉しいわ
リン
遥ちゃん……
遥の部屋
Kiritani Haruka
Haruka
…………
長谷川
『頭では作りたいって思ってるんですけど、
どうしても手が動かないんです……』
Kiritani Haruka
Haruka
(あの感覚は……よくわかる)
Kiritani Haruka
Haruka
(やらなくちゃ、やらなくちゃって思えば思うほど、
体がいうことをきかなくなって——)
Kiritani Haruka
Haruka
(わかるけど……どうすればいいのかわからない)
Kiritani Haruka
Haruka
……長谷川さんの今の気持ちが一番わかるのは、私なのに
Kiritani Haruka
Haruka
あ……。
真依から、メッセージだ
真依
『明日の舞台、楽しみにしててね!
遥ちゃんなら大丈夫だと思うけど、
念のために地図を送ります!』
Kiritani Haruka
Haruka
……ふふ、真依の舞台か。
楽しみだな
Kiritani Haruka
Haruka
(……でも、こんな時に楽しんでいいのかな。
長谷川さんは今も、苦しい思いをしてるのに……)
???
『はーるーかーちゃんっ!』
Kiritani Haruka
Haruka
えっ……?
リン
『今日も元気をお届け♪
みんなのリンちゃんだよーっ!』
Kiritani Haruka
Haruka
リン……急にどうしたの?
リン
『遥ちゃん、元気がなさそうだったから
ちょっと気になっちゃって』
Kiritani Haruka
Haruka
そっか……。心配かけちゃってごめんね
リン
『もー、心配かけていいんだよっ!
わたしがダメだーって時は、
遥ちゃんだって心配してくれるでしょ?』
リン
『だから、こういう時は
わたしをいーっぱい頼って!』
リン
『あ、遥ちゃんはしっかりしてるし、歌もダンスも上手だし
わたしにできることはあんまりないかもしれないけど……』
Kiritani Haruka
Haruka
……ふふ、そんなことないよ。
ありがとう、リン
Kiritani Haruka
Haruka
——ねえ、リンだったらどうする?
同じ想いで苦しんでる人を助けたいのに、
どうすればいいのかわからない時……
リン
『んん~……』
リン
『わたしだったら——まずはいっぱい遊んで元気になる!』
Kiritani Haruka
Haruka
え?
リン
『自分が元気じゃなかったら、
誰かを助ける元気もでてこないでしょ?』
リン
『だから、悩んじゃう気持ちはちょっとだけ置いておいて、
いっぱい遊んで、元気になってから考える!』
Kiritani Haruka
Haruka
……ふふっ。
たしかに、それってすごく大事なことだね。
ずっとふさぎこんだままじゃ、動き出す元気も出てこないし
Kiritani Haruka
Haruka
そういえば、昔の仲間にも
『責任感が強いせいで考えすぎてる』ってよく言われてたっけ
リン
『そこが遥ちゃんのいいところでもあるけどね♪』
Kiritani Haruka
Haruka
ふふ、ありがとう
リン
『でもね、遥ちゃん!
いっぱい遊んでも、息抜きしても、
どーしても元気が出なかったら……』
Kiritani Haruka
Haruka
出なかったら?
リン
『わたしとミクちゃんが、遥ちゃんをこちょこちょしてあげる!
だから、いつでもセカイに来ていいからねっ♪』
Kiritani Haruka
Haruka
えっ? っふふ……!
Kiritani Haruka
Haruka
じゃあ、その時は私もリン達にこちょこちょしちゃおうかな
リン
わあ、楽しそう~!
みんなでこちょこちょパーティーしちゃお!
Kiritani Haruka
Haruka
ありがとう。
リンのおかげで元気になれたよ
Kiritani Haruka
Haruka
私も——
笑顔で、希望を届けないとね

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