Feelings I Had Buried Deep Inside/Side Story 1

From Sekaipedia
MC
今日のトリはこいつらだ!
Vivid BAD SQUAD!!
彰人
まだ声枯れてねえよな!
さあ、飛ばしてくからね! しっかりついてきて!
——いくよ!
こはね・冬弥
『——! ————! ———~~~!』
杏・彰人
『——! ————! ———!』
全員
『♪————————!!』
こはね
ふう……。今日もしっかり歌えてよかった
冬弥
ああ。練習の時から感じていたが、
2人で歌うパートも全員で歌うパートも、
以前よりも綺麗に合うようになってきたな
それ、私も感じてた!
やっぱあれかな、共通のイメージってやつ!
彰人
今回は特に、お互いどう歌いたいか、
イメージをなるべく言葉で伝えて、
歌いかたを決めていったってのも良かったのかもな
冬弥
そうだな。また一歩、俺達は前に進めた気がする
こはねがしっかり大河おじさんと練習して、
身につけてきてくれたおかげだね!
こはね
えへへ。みんなの役に立てて嬉しいな
冬弥
(みんなの役に、か……)
ルカ
『ふふ、何もできないなんてことはないと思うよ?』
ルカ
『どんな人にも、“その人だからできること”が
あるものだからね』
冬弥
(俺も何か、チームのためにできることがあればいいが……)
冬弥
(今日の練習は午後からか。
それまでは自主練でも——)
冬弥
メッセージ……?
小豆沢からか
こはね
『練習の前にごめんね。
ちょっとだけ、相談したいことがあって』
冬弥
……相談?
こはね
『実は、大河さんから景色や風景をイメージする練習に、
クラシックの曲もオススメって言われたんだ』
こはね
『とりあえず自分でいろいろ調べて、
ベートーベンとかドビュッシーの曲は聴いてみたんだけど』
こはね
『他にも参考になりそうな曲があったら
教えてほしいなって』
冬弥
なるほど……
こはね
『ごめんね、こんなこと相談しちゃって。
クラシックのことだし、
聞かないほうがいいかなって思ったんだけど……』
こはね
『東雲くんに相談したら、
“大丈夫だから聞いてみろ”って言ってたから』
冬弥
…………
彰人
オレは——わかってるからな
彰人
冬弥は音楽から離れて——もう一度音楽を選んだ
彰人
そんなの、相当好きじゃなきゃできねえだろ
冬弥
——『気をつかわせてしまってすまない。
彰人の言うとおり、大丈夫だ。
よさそうな作曲家や曲を見繕ってみる』
こはね
『こんなにあるんだね。ありがとう!
教えてもらった曲のリスト、
杏ちゃんや東雲くんにも見せていい?』
冬弥
『もちろんだ。
できればみんなで聴いて、イメージの話もしたいな』
こはね
『それいいね!
じゃあグループのほうでメッセージ送っておくね!』
冬弥
……役に立ててよかった
冬弥
(だが……)
冬弥
(結局俺には、クラシックにまつわる知識や
経験しかないな……)
冬弥
(それがチームの役に立つなら、
もっと積極的に活かすべきなのかもしれないが……)
冬弥
だが、俺は……
冬弥
…………
冬弥
(練習の時間までに、
気持ちを切り替えておかなければ……)
ミク
あれ、冬弥?
練習の時間にはまだだいぶ早いんじゃない?
冬弥
あ、いや……。ちょっとな……
ミク
…………
ミク
私でよければ、話聞くよ?
冬弥
……ああ、そうだな。
少し、聞いてほしい……
ミク
……チームのために、
クラシックの知識と経験を活かすべきか、か……
冬弥
……ああ
冬弥
学校行事にもろくに出ていなければ、
友人と遊ぶこともほとんどしてこなかった
冬弥
俺は、彰人達よりも圧倒的に人生経験が足りていない……
冬弥
そんな俺が唯一みんなより知っていて、
経験があるのがクラシックだ
ミク
…………
冬弥
俺には本当に、それしかない。
であれば、もっと活かすべきなんだろうが……
冬弥
俺は、クラシックから逃げてしまった……
冬弥
だから俺には……クラシックを語る資格がない
ミク
……それで、冬弥はどうしたいの?
冬弥
え……?
ミク
え、って……。
冬弥、また悪い癖が出てるよ
ミク
“すべき”だとか、“資格”だとかじゃなくて、
冬弥自身はどうしたいのかって、ちゃんと考えた?
冬弥
…………
冬弥
それは……
冬弥
(俺が、どうしたいのか……)
冬弥
俺は……
冬弥
…………!
なんだ? 今、何か光って……
ミク
あ、ほらそこ……。想いの欠片だ
冬弥
想いの欠片?
その丸くて、光っている物のことか?
ミク
うん。セカイは想いでできているから、
たまに似たような想いが引き寄せ合って、
セカイの中に欠片として現れることがあるの
冬弥
欠片……
ミク
そう。あくまで欠片だから、
ちゃんとしたセカイにはならずに、
しばらくしたら想いの光に戻ってしまうんだけど……
ミク
(でも、さっきの光ったタイミング……。
もし冬弥がとおりかかったから、光ったんだとしたら……)
冬弥
想いの欠片、か。
相変わらず、ここは不思議な場所だな
ミク
まあね
ミク
……ねえ、冬弥。
ちょっとだけどんな想いなのか見てみない?
冬弥
え? しかし……勝手にそんなことをしては、
その想いの持ち主に失礼じゃないか?
ミク
でもこのままじゃ、
誰にも知られずに消えちゃうんだよ?
ミク
ならせめて、気づいてあげられた私達くらいは
どんな想いがこめられているのか、
覚えていてあげたいんだよね
冬弥
……たしかに、
誰にも知られずに消えてしまうのは寂しいな
ミク
冬弥、その想いの欠片に触れてみて
冬弥
わかった
冬弥
…………!
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