Live with memories/Story/Chapter 6

From Sekaipedia
一歌
……この表現は違う。
もっと——
一歌
(ふたりが離れ離れになっても、
幸せだった頃の記憶を、ちゃんと思い出せるようにしたい)
一歌
(……私はあのふたりのことを知らない)
一歌
(でもきっと、幸せな思い出がたくさんあると思う)
一歌
(私は——みんなとの思い出があったから、ここまでこれた)
幼い一歌
咲希? どうしたの?
幼い咲希
……えへへ。
ずーっと、こんな風だったらいいなあって思って
幼い咲希
みんなで遊んで、たっくさんおしゃべりして、
帰り道に星見たりして……
幼い咲希
そんな風に、ずーっと
みんなと一緒にいられたらいいなあって
幼い一歌
……そうだね、私もそう思う
幼い穂波
わたしも
幼い志歩
……うん
一歌
(あの時の、キラキラした思い出があったから、
私達はまた一緒になれた)
一歌
(ふたりは、今は離れ離れになる道しかないのかもしれない。
だけど——)
一歌
(幸せだった思い出を抱いて前を向けば、
いつかきっとまた、一緒に笑いあえる日がくる)
一歌
(そう思えるような曲を——届けたい)
一歌
ここは……『あなたへ』より、『あなたに』が
いいな……
一歌
(……1番はこれでいけそう。
少し休憩してから、2番を書こう)
一歌
(あ、でもその前に、1番の歌詞に変なところがないか、
もう一度見直しておこうかな)
一歌
……『出会えた幸せを、数えて』……
一歌
そういえば……
一歌
(みんなと出会えたことが、
私にとっては一番の幸せだけど)
一歌
(昔——同じくらい、幸せな出会いがあったな)
幼い一歌の声
……どうしよう
幼い一歌の声
(お父さんのタブレットいじってたら、
よくわからない動画に飛んじゃった……)
幼い一歌の声
(この緑の髪の子、誰だろう?)
幼い一歌の声
(あ、曲が始まった……。
全然知らない曲だけど……)
ミク
♪————————!
幼い一歌の声
……! わぁ……! すごい!
一歌
(興奮してそのまま夜になっても眠れなくなっちゃって……。
結局次の日寝坊しかけたんだよね)
一歌
(それで急いで学校に行って、
咲希達にこの曲をみんなで演奏しようって持ちかけて……)
一歌
……ふふ。懐かしいな
一歌
(ミクの歌に出会って……。
それから、セカイでもミクに会えて……)
一歌
(……ミクがいなかったら、
今の私達は、きっとずっと違った形になってたんだろうな)
一歌
(ミクとの出会いは、
本当に、大事な大事な……)
一歌
(——そうだ。
この想いも、詞にこめてみよう)
一歌
(出会えた幸せと——これからもずっと一緒に
歌いたいっていう気持ちを)
一歌
……できた……
一歌
(ルカのアドバイスのおかげだな。
よかった……)
一歌
(う……。
安心したら、眠くなってきちゃった……)
一歌
(今日は朝からセカイで練習する約束だけど……。
少し仮眠をとったほうがいいかな)
一歌
(——ううん。やっぱりこのまま練習に行こう。
すぐに曲をつけて、練習を始めなきゃいけないんだから)
一歌
(それに……。
早くみんなの感想も聞いてみたいし)
一歌
(……この曲が、ふたりの悲しい気持ちを、
少しでも和らげてくれたらいいな……)
一歌
(……集合時間の前だし、
まだ誰も来てないみたいだな。ミク達も……あれ?)
ミク
…………
一歌
……ミク、座ったまま寝てる……
一歌
(あ、うしろの黒板——
曲のアイディアがいっぱい書いてある)
一歌
(もしかして……私が帰ったあと、
みんなと考えてくれたのかな)
一歌
……ありがとう、ミク
咲希
おっはよー!!
一歌
わっ!
ミク
ひゃっ!
び、びっくりした……!
咲希
あ、いっちゃんとミクちゃんだ!
おはよーっ! ふたりとも早いね~!
咲希
しほちゃん、ほなちゃん!
いっちゃんもう来てるよ!
志歩
本当?
ずいぶん早くない?
穂波
もしかして一歌ちゃん、徹夜したの?
体調は大丈夫?
一歌
うん。むしろちょっと元気なくらいかな
リン
あー! 声がするって思ったら、
みんなもう集まってるじゃんっ!
レン
朝から元気だなぁ
KAITO
KAITO
……元気なのは、いいことだと思う
MEIKO
MEIKO
お、カイト、後ろのほうちょっと寝ぐせついてるよ?
KAITO
KAITO
え……
ルカ
それで——歌詞のほうは、どう?
一歌
……うん! できたよ!
一歌
だから改めて——みんなに見てほしいな
一歌
(……どうしよう。
みんなずっと黙ってるけど……)
一歌
(もしかして、あんまり……)
穂波
……っ
一歌
……え!? 穂波、大丈夫!?
穂波
あ……! ごめん、大丈夫だよ。
その……バンドを組むまでのこと、少し思いだしちゃって……
志歩
……私も、自然と中学の時のこと考えてた
咲希
うん……
咲希
アタシも、会えなくって……。
でもみんなとまた一緒になれた時のこと思いだして……
咲希
——ありがとう、いっちゃん。
すっごくすてきな歌詞を書いてくれて
一歌
……!
よかった……!
一歌
ミク達はどうだった?
一歌
あ……
ミク
……いい歌詞だね、一歌……
一歌
ミク……
リン
わ! ミクぴょん、大丈夫~!?
レン、ハンカチハンカチ~!
レン
ちょ、リンは持ってないのかよ!
あ、オレもあっちの教室に置いてきたな……
ルカ
ふふ、はい、ミク。
これを使って
ミク
あ、ありがと……
ルカ
……とてもいい歌詞だったわ、一歌。
悲しみに寄り添う、あたたかくて優しい歌ね
一歌
……ありがとう、ルカ!
咲希
よーっし!
それじゃあすぐに曲、作っちゃおう!
咲希
この歌詞なら、昨日考えたメロディーが合いそうだから……
こんな感じはどうかな?
穂波
すごくいいと思う!
あ、でも……もうちょっとスローテンポでもいいかも
志歩
そうだね。しっとり聴かせる感じにしたほうが
この歌詞には合いそうだから、音もシンプルにして——
一歌
あ、じゃあこういうのはどうかな?
一歌
……できた
咲希
これ——すっごくいい曲じゃない!?
穂波
うん……!
一歌ちゃんの作ってくれた歌詞にぴったりだし、
イントロから胸がギュっとするし……!
咲希
もしかしたらアタシ、
弾きながら泣いちゃうんじゃ……!?
志歩
それは我慢して
一歌
ふふっ。
……納得できる曲ができて、よかった
一歌
あ……。
あはは……お腹なっちゃった
穂波
お昼も食べないで、ずっと作ってたもんね
ミク
ふふ。みんな、お疲れさま!
レン
短時間で、こんなにいい曲ができるなんて思わなかったな。
みんなすごい集中力だったし
MEIKO
MEIKO
うん。みんなの本気が伝わってきたよ
一歌
ありがとう、みんな
一歌
……実は歌詞を書いてる途中、
ミク達のことを思い出してたんだ
ミク
え、私達のこと?
一歌
うん。咲希達と出会えたことは、
私にとってすごく幸せなことなんだけど——
一歌
同じくらい、
ミク達と出会えてよかったなって思ったんだ
一歌
ミク達のおかげで、いろんな音楽を知って、
私の世界はすごく広がったから
一歌
それで今はみんなとバンドを組んで、
4人でプロを目指せてる
一歌
ミク達がいなかったら、今の私はいなかったよ
一歌
……本当にありがとう、ミク。みんな。
私と出会ってくれて
一歌
こんな出会い——
生まれ変わったってあることじゃないよね
ミク
一歌……
ミク
……一歌って、たまに急にかっこよくなるよね
咲希
あ、それわかる!
イケメンいっちゃんが降臨する時あるよね!
一歌
えっ!?
KAITO
KAITO
……俺も、そう思う……
ルカ
ふふっ
ルカ
あとは——この曲が、花乃ちゃん達に届くといいわね
一歌
——うん!

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