Live with memories/Story/Chapter 7

From Sekaipedia
一歌
(……はぁ。緊張して早起きしちゃった)
一歌
(なんだかソワソワして、こっちに来ちゃったけど……)
一歌
(……ふたりとも、ライブに来てくれるといいな)
???
——一歌?
こんな早くにどうしたの?
一歌
あ……
一歌
今日は約束の日だから、ちょっと緊張しちゃって。
気分転換に来たんだ。
ここにいると、気持ちがシャキっとするから
ミク
そうだったんだ。
……で、ちゃんとシャキっとできた?
一歌
……実はまだ、ちょっと不安かも
一歌
歌詞も曲も、みんなのおかげでいいものができたけど、
ふたりに届くとは限らないし……
ミク
…………
ミク
不安なら、一緒に歌ってみる?
一歌
え?
ミク
せっかくこっちに来たんだし、声出しも兼ねてってことで。
それじゃ、いくよ?
一歌
えっ、ちょ、今から?
ミク
♪————
一歌
あ…………
一歌
(私達が作った曲だ——)
一歌
(ミクが歌ってくれると、なんだか不思議な感じがする)
一歌
(……優しい声で、胸の奥まであたたかくなって……)
一歌
……♪————
一歌・ミク
『♪————』
一歌
……やっぱりすごいな、ミクは。
一緒に歌ったら、それだけで肩の力が抜けちゃったよ
ミク
それは私の力じゃなくて、
一歌達が作った曲の力じゃない?
一歌
そう、なのかな……?
一歌
ううん、それだけじゃない気がする
一歌
やっぱり、ミクの歌には——
不思議な力があるんだと思う
一歌
一緒に歌うと、気持ちが引き上げられるっていうか——
いつも以上の力を出せるような気がするんだ
ミク
一歌……
一歌
あっちのライブでも、ミクと一緒に歌えたらいいのにな
一歌
そうしたらもっと——
たくさんの人の心に響く歌が歌えそうな気がする
ミク
……なら、あっちでも歌おうよ
一歌
え?
ミク
だって一歌の世界にも、私がいるでしょ?
ミク
きっと向こうの私も、
一歌達のことを待ってるよ
一歌
私の世界の、ミクも——
一歌
……あ、そろそろ行かなくちゃ。
ごめんねミク、また来るよ
ミク
うん。
いってらっしゃい、一歌
ミク
応援してるよ!
花乃
…………
花乃
あ……お兄ちゃん!
来てくれたんだね。よかった!
葉太
……ああ。待たせて悪い
花乃
もう、来なかったらどうしようかと思ったよ!
せっかくLeo/needの皆さんに誘ってもらったのに……
葉太
……そうだな。今日は楽しもう
花乃
……うん。
ふたりで見られるのは、最後だけど……
花乃
思いっきり楽しもうね……!
葉太
…………ああ
一歌
……見つかった?
咲希
ん~。
暗くて見えづらいな~
穂波
あ、いたよ!
あそこの、すみっこのほう!
志歩
……ふたりで来てくれたのはよかったけど……。
やっぱり、悲しそうだね
咲希
これが一緒に見られる、
最後のライブかもしれないんだもんね……
一歌
…………
一歌
(……私は、苦しんでるふたりのために、
歌うことしかできない)
一歌
(歌うことしか……。
……ううん。そうじゃない)
一歌
(——歌を届けることは、できる!)
一歌
みんな、今日はいつも以上に全力でやろう
一歌
ふたりが離れ離れになっても、
幸せな思い出を大事にして、前に進めるように
志歩
じゃ、あれやろっか。
咲希が考えた星のヤツ
咲希
スターピースだってば!
もー、しほちゃん覚えてよ~
穂波
ふふっ、じゃあ一歌ちゃん。
かけ声お願い
一歌
——うん
一歌
聴きに来てくれた人達のために、
花乃ちゃんとお兄さんのために——
一歌
全力で、頑張ろう!
咲希・志歩・穂波
『おー!』
花乃
あ……。
お兄ちゃん、次Leo/needだよ!
葉太
…………
花乃
あ……
一歌
こんにちは!
Leo/needです!
一歌
——今日はいつもの曲と一緒に
新曲も作ってきました
一歌
全力でやるので——最後まで聴いてください!!
一歌
♪————っ!!
花乃
(あっ、この曲———)
花乃
(お兄ちゃんと、ここで最初に聴いた曲だ……)
花乃
(……この曲を最初に聴いた時は、すごくびっくりしたな。
まるで私達を応援してくれてるみたいで……)
葉太
(あの時は、父さんと母さんの離婚が決まって、
ずっと落ちこんでた花乃が、目を輝かせて——)
葉太
(……気づいたら俺も花乃も、笑っていたんだったな)
花乃・葉太
『…………』
一歌
——ありがとうございました!
一歌
次は、新曲です。
ここで初めて弾かせてもらおうと思います
一歌
ただ——
一歌
その前に少しだけ、
この曲に込めた想いの話をさせてください
一歌
——私達は、小学生の頃からの幼馴染みです
一歌
小さい頃は、いつも4人で一緒にいて、
朝から晩まで遊んでました
一歌
でも、ある時期を境に、
すれ違うことが増えていって……
一歌
2年近く、まったく言葉を交わさない時期がありました
花乃
え……
一歌
すれ違っていた時は、
本当に、本当につらかったです。でも——
一歌
だからこそ、
またこうやって一緒にバンドをやれるようになった時、
心の底から幸せを感じることができました
一歌
この曲は——私達と同じように、
大切な人と離れることになってしまった人達に
贈りたいと思って作った曲です
一歌
今は離れ離れになってしまっても、
出会えた幸せを胸に、前に進んで行けるように——
一歌
♪————
花乃
あ……
葉太
……!
花乃
……なんで?
葉太
なんでこんなに……思い出すんだ……
花乃
(……どうしてだろう。
お兄ちゃんがしてくれたこと、いっぱい思い出してる)
花乃
(お父さんとお母さんが喧嘩した夜に、
私が寝るまでそばにいてくれたこととか——)
葉太
(……俺の誕生日には、花乃が毎年、
手作りのケーキを作ってくれたな……)
葉太
(不器用だからだいたい変な形になってたけど、
それがなんだか楽しくて——)
葉太
(……あたたかかった)
一歌
♪————
一歌
(届いてほしい……!)
一歌
(ふたりは、お互いを大事に想ってるからこそ
一緒にいられないかもしれないけど、だけど——)
一歌
(そんなふたりが、離れていても
幸せな思い出を抱いて、前へ進めるように……!)
一歌
♪————!
一歌
……はぁ、はぁ、はぁ……
志歩
……お疲れ、一歌。
やりきれたね
穂波
お疲れさま、一歌ちゃん!
咲希
いっちゃん、最っ高の歌だったよ!!
一歌
……ありがとう。
みんなのおかげで、思いっきりできたよ
一歌
あとは——
一歌
あのふたりに……届いてたらいいな

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