POP IN MY HEART!!/Story/Chapter 1

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えむ
おはヨーヨーびよ~んっ!!
今日もワクワクわんだほ~い♪
ひなた
おはよう、えむ。
あ、お兄ちゃんも起きてきたんだね
慶介
ああ。今日は朝一で会議だからな
えむ
あのねお姉ちゃん!
さっき上でお兄ちゃんから聞いたんだけど……
えむ
今ナイトショーがどんどん人気になってって、
前よりい~っぱいお客さんが集まってるんだって!
ひなた
えっ? そうなの?
慶介
ああ、本当だ。
今月は、前月比112%増になる
ひなた
そんなに……!?
あのショー、やっぱりすごく人気なんだね
慶介
ああ。それに、宣伝公演の効果も
少しずつ出てきているようだ
えむ
えへへ♪ とっても嬉しいな~っ!!
晶介
ふわぁ……朝からうるせえなあ……
ひなた
あ、おはよう晶ちゃん。
今日はなんだか眠そうだね
晶介
あー、昨日の夜兄貴と、
あれこれ考えてたからな
ひなた
あれこれって?
慶介
この集客率を維持していくための話しあいをしていたんだ。
できればナイトショーの人気を継続させつつ、
次打てる手を講じたい
慶介
——ああ、そうだ。
今晩の話しあいは、えむにも参加してほしい
えむ
え? いいの?
慶介
ああ、新しい角度のアイディアをくれると助かる。
頼りにしているぞ
えむ
……っ!
えむ
——うんっ!
ひなた
……ふふっ
ひなた
(みんな昔みたいに、笑顔であの場所のことを考えられてる)
ひなた
(本当によかったね、みんな)
えむ
——隊長~!
アイディアいっぱい持ってきましたっ!
晶介
誰が隊長だ、誰が
慶介
うむ、それでは見せてもらおうか、えむ隊員
晶介
乗るのかよ!
えむ
はい! 晶介お兄ちゃんにもアイディアノート!
いっぱい書いてきたよ!
えむ
その名も、『お客さんもっといっぱい大作戦っ!』
慶介
率直な作戦名だな。
どれどれ……ん?
慶介
『朝と昼にもナイトショーをやる』……?
晶介
おい、そりゃもうナイトショーじゃないだろ!
えむ
ううん!
そっちのショーは、ナイトショーとは違うショーなの!
えむ
朝のショーと昼のショーではね、ナイトショーのお話の、
ちょっと前のお話をするの!
そうすると、ナイトショーがも~っと楽しみになるでしょ!?
晶介
ああ……なるほど。
ナイトショーの前日譚としてのショーを作るのか
慶介
リピートしてくれるコア層向けの、いい施策だな。
検討してみる価値はありそうだ
えむ
やった~☆
えむ
それじゃ、次のアイディアね!
観覧車からナイトショーを見た時に
もっと楽しくなれるようにしたいなって思って——
えむ
はい! これで全部だよ!
晶介
なんつー数のアイディアだ……。
こんなん、いつの間に考えてたんだ?
えむ
む? えーっと、朝起きた時とか、学校に行ってる時とか、
授業中とか、学校から帰ってる時とか、寝てる時とか……
晶介
あ~わかったわかった!
慶介
しかし……これらのアイディアを
実現するのは、骨が折れそうだな
えむ
そうなの?
慶介
アイディアそのものはどれも悪くはない。
実現できれば客足も伸びそうだが……
晶介
ああ、現実的に考えてできるかどうかっつうとな。
予算も人員も厳しいところだ
えむ
あ、そっか!
ごめんね、そこまで全然考えてなくって……
慶介
なに、その点に関してはこれから詰めていけばいい
慶介
さしあたって、確度の高そうな朝と昼のショーについて、
考えるとするか
えむ
うん! えーっとえーっと……
晶介
今のままじゃキャストの数が足りねえな。
うちはただでさえ、同じ規模のパークに比べて
キャストの人数が足りてないからな
えむ
え? そうなの?
晶介
ああ。大体三分の二くらいだな
えむ
そうなんだ……!
えむ
(そういえばあたし、
他のパークのこともちょっとしか知らないなぁ……)
晶介
ライリー社との提携に向けてキャストの数は確保したいな。
採用募集をかけるか?
慶介
いや、そこは慎重にいきたい。
闇雲にキャストを増やすと、育成に時間がとられてしまうからな。
今いるベテランキャストにあまり負担をかけたくない
慶介
……これはキャストの育成制度から見直す必要があるな。
晶介、お前から人事に話をしてほしい
晶介
わかった。
今いるベテランも、ショーキャストや制作としてのキャリアが
しっかり積めるようにしたいもんだな
慶介
そうだな。そのほうが長期的に見て
いいキャストが集まりやすくなるし、
ひいてはいいショーを作れるようになる
えむ
ほえ……
慶介
おっと、すまない。電話だ。
少し外させてもらう
晶介
ああ。しかしこりゃ明日は人事と会議三昧だな。
朝イチで連絡入れておくか……
えむ
(……お兄ちゃん達、すごいなぁ……)
えむ
(きっと、会社のこととか、他のパークのことも
いっぱい勉強してるから、『こうしたい』を
形にできるんだよね)
えむ
(なのに、あたしは——)
えむ
(……そうだ!)
えむ
ねえ、晶介お兄ちゃん!
晶介
ん? なんだ?
えむ
あたし、もっと会社のこと勉強する!
晶介
は?
えむ
働いてるキャストさんのこととか、お金のこととか、
いっぱい考えなきゃいけないことがあるし……!
えむ
そういうことをちゃんと勉強したら、
もっと——
晶介
あー……
晶介
えむはそういうんじゃねえだろ
えむ
え?
晶介
そりゃたしかに会社を経営するうえで考えなきゃならないことは
山ほどあるが、お前はそれより——
晶介
おっと、電話だ。
悪い、俺も外すぞ
えむ
あ……うん……
えむ
…………
晶介
えむはそういうんじゃねえだろ
えむ
(それって、あたしが会社のこと考えるのは、
向いてないってことなのかな……)
えむ
(でも、このままじゃ……)
えむ
(いつまでたっても、みんなに頼りっぱなしになっちゃう)
えむ
(ワンダーステージを守りたい、
フェニックスワンダーランドを守りたい、って思った時だって、
みんながいなかったらなんにもできなかったから——)
えむ
(……うん!)
えむ
(やっぱり、向いてなくても勉強しようっ!)
えむ
(『こうしたい』を形にできるようになろうっ!)
慶介
えむ? 大丈夫か?
えむ
ぴゃ!? あ、お兄ちゃん達電話終わったの?
晶介
百面相してると思ったら、やっぱり聞いてなかったのかよ。
もう1回言うぞ
晶介
お前達——アメリカに行かないか?
えむ
…………ええっ!?
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