セカイの狭間
KAITO
今日も、たくさんの想いが輝いているなあ
KAITO
せっかくだし、どこかのセカイをのぞきに——
KAITO
ん? これは……
KAITO
想いの欠片だ。 でも、すごく強い想いを感じる……
KAITO
これも何かの縁かもしれないし、 少し想いに触れさせてもらおうかな
???
KAITO
ここは……体育館?
KAITO
(想いの持ち主はスポーツをやっているのかな? 見た感じ、バスケっぽいけど……)
KAITO
ん……? 足音?
少年
はあっ……はあっ……!
KAITO
——って、人!? こっちに走ってくる!
少年
はあっ……はあっ……!
KAITO
あ、あれ……? 絶対見つかったと思ったんだけど……
少年
はあっ……はあっ……!
KAITO
……高校生? ランニングに夢中っていう感じだな
KAITO
……あの子が想いの持ち主で間違いなさそうだね
KAITO
(ここは欠片のセカイで、 ちゃんとしたセカイになったわけじゃない——)
KAITO
(なのに、想いの持ち主が来てるなんて……)
KAITO
(あ! ひょっとして 夢を通じて迷い込んじゃった、とか?)
少年
はあっ……はあっ……!
KAITO
あの子、ずっと走ってるけど……
KAITO
(走りかたがなんだか変だ。 片足をかばっているような……)
KAITO
(でも……怖いくらい真剣な顔をしてる。 邪魔はしたくないな)
KAITO
もうちょっと隠れやすい場所に移動して、少し様子を——
KAITO
(あっ! ボール、蹴っちゃた!)
KAITO
(うわ、あの子のほうに転がって……。 ——って、こっち見た!)
少年
…………
KAITO
あ……。 ど、どうも、こんにちは……
少年
…………
KAITO
……あれ? あの……
KAITO
行っちゃった……
KAITO
こっちを見てたのに、 まるで僕のことが見えてないような感じだったな
少年
ふっ……ふっ……!
KAITO
あ……今度は筋トレだ……
KAITO
(夢を通じてこっちに来ているんだとしても、 休憩もなしに次のトレーニングに入るなんて、大丈夫かな)
少年
ふっ……ふっ……!
KAITO
……なんだか、すごく必死だな
KAITO
(ううん、追い詰められてるっていうほうが 近いかもしれない……)
KAITO
(……この想いは、なんだろう?)
KAITO
(悔しさ、焦り……不安、恐怖……)
KAITO
(いろんな想いが混ざり合ってるけど、 あまりいい状態じゃなさそうだ……)
少年
はあっ、はあっ……
KAITO
(だいぶつらそうだな。 さすがに、このあたりで休んだほうが……)
少年
はあ……はあ……
KAITO
え、ボールを拾った? まさか——
少年
ふっ……!
KAITO
今度はシュート練習!?
少年
ふっ……!
KAITO
(ペースも速い……)
KAITO
(何がここまで、あの子を必死にさせているんだろう)
KAITO
(もっとこの欠片のセカイや、 あの子について知らないといけないみたいだ)
KAITO
(とにかく手掛かりを探して——)
少年
うっ……!
KAITO
…………!
KAITO
君、大丈夫かい!?