< BREAK DOWN THE WALL | Story
An
はぁ……はぁ……!
An
(……変だ。 向こうはただ歩いてるだけなのに——)
???
♪——————
An
あ……! 待って!
An
(走っても走っても、追いつけない……!)
Miku
(……どうして追いつけないんだろう)
Miku
(もしかして……杏の想いが生み出した凪さんだから?)
An
……っ、もう! 全然待ってくれない……!
An
待ってってば……!! ……あっ!
An
いったぁ……!
Miku
杏……!
An
……っ、大丈夫! ちょっとすりむいただけだから!
An
本当……凪さんっていっつもそう!
An
私の練習見てる時も、 他の人に声かけられたらそっち行っちゃうし!
An
一緒に夕ご飯食べてる時も、 食べ終わったらすぐテレビ見にリビング行っちゃうし!
An
——セカイでくらい、いいじゃん!!
An
ちょっとは私のこと待っててよ!!
An
え……
An
立ち止まってくれた…………?
Miku
(……でも、なんだか様子が変)
Miku
(何かをじっと見てる。 でも、何を——)
Kohane
あ、えっと……。 あそこにある大きな建物の壁、ちょっと変だなって思って
Toya
……ああ、たしかにそうだな
Toya
壁の大半が グラフィティとフライヤーで埋め尽くされているのに、 なぜか中央だけが空いている……
An
そこだけぽっかり空いてるって感じだね。 ……なんでなんだろ?
Miku
(あの壁を見てる……?)
An
……ねえ、凪さんなの?
???
…………
An
(せっかく追いついたのに、 何話せばいいのか、わかんないよ……)
An
(言わなきゃいけないことが、 本当はいっぱいあるのに……)
An
(私は…………)
An
……っ
An
あ……
Miku
(頭を——)
Miku
消えた……
An
…………凪さん
An
あはは……。 やっと話せるって思ったのに……何も言えなかった……
Miku
……杏……
Miku
何か、聴こえる……
An
え? 何かって……
???
♪…………————
An
…………あ…………
???
♪————————!
An
この歌……
An
一緒に歌った……
An
♪————————!
杏・???
『♪————————!』
An
……本当、いっつも楽しそうに歌うよね……
An
……わかったよ、凪さん
An
私——すぐ、追いつくから!
An
凪さんのいるところまで走ってく!
An
それで、すぐに追い越しちゃうから——
An
楽しみにしててよ、凪さん!
An
っは~! ミク、ありがと! 手伝ってくれて!
An
なーんか、スッキリしちゃった!
Miku
……そっか
Miku
——よかったね、杏
An
うんっ!
Miku
でも……
Miku
あの凪さんは、 なんであの壁を見つめていたんだろう
Miku
しかも、寂しそうに
An
あ……そういえば、たしかに……
Miku
(……考えてみれば、 あの広場の壁だけ、なんなのかがわかってない)
Miku
あれは一体——