Revival my dream/Story/Chapter 8

From Sekaipedia
森の少女
『えーいっ!』
将校
『よし……!!』
森の少女
『で、できた~! できたよ将校さん!
あたし跳んじゃった!』
森の少女
『あ、喜んでる場合じゃないね!
今、縄を解いて……』
将校
『——ありがとう』
森の少女
『へ?』
将校
『君は、私達に偏見を持たず、恐怖することもなく、
勇気をもって、私の心の中にある垣根を跳び越えてくれた』
将校
『そうして今、私達のあいだにあるとてつもなく大きな垣根を
跳び越えるために、手を差し伸べてくれている』
将校
『……本当に、ありがとう』
森の少女
『……えへへっ!
将校さんに褒められると、なんだか照れちゃうな~!』
森の少女
『でも、あたしだけじゃなくて、
将校さんも——みんなも、きっと跳べるよ!』
将校
『……ああ、そうだな。
森の民と町の民、双方に宝を届け、そして伝えるとしよう』
将校
『約束はしっかりと果たされたこと。
そして、どんな垣根であろうと、
我々は必ず越えられるということを——!』
森の少女
『うんっ!!』
観客達
本当にジャンプするなんて思わなかったわ!
観客達
こっちまでドキドキしたね
Kamishiro Rui
Rui
(……ああ。
僕達のショーで、客席が笑顔に染まっていく)
Kamishiro Rui
Rui
(僕は、なんて——)
大臣の部下
『……なぜ、森の人間と町の人間が、手を取り合って……?』
森の少女
『あたし達はもう、ケンカするのはやめたの!』
将校
『本当の敵は誰なのか、私達は知った。
それは——私達を憎みあわせようとする、お前だ!』
大臣の部下
『く……うわあ!』
Tenma Tsukasa
Tsukasa
本日はご来場いただき、
まことにありがとうございました!
Otori EmuKusanagi NeneKamishiro Rui
Emu, Nene & Rui
『ありがとうございました!』
観客達
楽しかったわね!
観客達
あのジャンプのシーンは本当にドキドキしたね
観客達
ああいうお芝居を見たのって初めてだけど、
遊園地でもやってるんだね。
今度見に行ってみようかな
Kusanagi Nene
Nene
……ふふっ。
みんな興味持ってくれてるみたい
Tenma Tsukasa
Tsukasa
今回の観客は普段テーマパークに行くような層ではないが、
この様子ならば期待できそうだな!
Otori Emu
Emu
やった~!!
今回も大成功だねっ!!
Kamishiro Rui
Rui
——ああ、そうだね
Kamishiro Rui
Rui
さて、お客さん達もほとんど席を立ったことだし、
あと片づけを始めようか
Kamishiro Rui
Rui
僕は、命綱を外してくるよ。
少し外しかたが難しいからね
Tenma Tsukasa
Tsukasa
あ、おい! 類!
Tenma Tsukasa
Tsukasa
……どうしたんだ?
さっさと片づけに行ってしまって
Otori Emu
Emu
うん。
類くん、なんだかいつもとちょっと違うね
Kusanagi Nene
Nene
たしかに、いつもならショーが終わったら、
もっと嬉しそうにしてるのに……
Otori Emu
Emu
あっ!
もしかして、あたしどこか間違えちゃったかな!?
Otori Emu
Emu
それで怒ってたらどうしよう……!
類くんに聞いてくるー!
Kusanagi Nene
Nene
あ、えむ!
Kamishiro Rui
Rui
よし。この金具を外して……
Otori Emu
Emu
類く~ん!!
Kamishiro Rui
Rui
ん?
どうしたんだい、えむくん
Otori Emu
Emu
えと、えと……!
あたし、セリフがスポーンてしちゃったかな!?
Kamishiro Rui
Rui
うん? なんだか話がつかめないんだけれど……
Tenma Tsukasa
Tsukasa
お前の様子がいつもと違うから、
気になっているんだ!
Kamishiro Rui
Rui
え?
Tenma Tsukasa
Tsukasa
いつもの類ならば、公演後はニヤニヤして、
次はどうしようかな~、司くんを土に埋めてみようかな~、
などと言っているだろう!
Tenma Tsukasa
Tsukasa
それが今日に限って妙に淡泊だからな。
どうしたんだ?
Kusanagi Nene
Nene
何考えてるか知らないけど、
別に怒ってるわけじゃないんでしょ?
Otori Emu
Emu
ほんとー?
あたし、どこも間違えてなかったー?
Kamishiro Rui
Rui
…………ふふ。
間違えてなんていないさ
Kamishiro Rui
Rui
むしろ、全員完璧だったよ
Tenma Tsukasa
Tsukasa
じゃあなぜ今日は妙に落ち着いているんだ?
いつもなら、もう少し嬉しそうにしてるだろう
Kamishiro Rui
Rui
…………ああ
Kamishiro Rui
Rui
うまく言い表せなくてね
Otori Emu
Emu
え?
Kamishiro Rui
Rui
いや——この感情を表現してしまうのはもったいないと
思ったのかもしれない
Kamishiro Rui
Rui
……ちゃんと僕の中にしまっておきたい、のかな
Otori Emu
Emu
うーんと……?
Tenma Tsukasa
Tsukasa
どういう意味だ?
Kusanagi Nene
Nene
あ——
Kusanagi Nene
Nene
もしかしたら、類が言いたいこと、
なんとなくわかるかも
Otori Emu
Emu
ほんと!? 寧々ちゃん、すごーいっ!
Kamishiro Rui
Rui
おや、さすがだね。寧々
Kusanagi Nene
Nene
長いつきあいだからね。
——でもさ、類
Kusanagi Nene
Nene
せっかく嬉しいことがあったんなら、
みんなに話してみるのもいいんじゃない?
Kusanagi Nene
Nene
ここにはみんないるんだしさ
Kamishiro Rui
Rui
…………
Kamishiro Rui
Rui
……ふふ。そうだね。
この感動を独りじめをすることこそ、もったいないしね
Kamishiro Rui
Rui
じゃあ、そっちに下りて話そうか
Tenma Tsukasa
Tsukasa
それで? 一体どうしたんだ?
Kamishiro Rui
Rui
うん。
つまり僕は今日のショーを見て……
Kamishiro Rui
Rui
僕はなんて幸せ者なんだろう、って思ったんだよ
Otori Emu
Emu
えーっと……じゃあ類くん、
ショーが成功したから喜んでたの?
Kamishiro Rui
Rui
ああ。そうだよ
Kamishiro Rui
Rui
今までにないくらい嬉しくて、
どうしたらいいのかわからなかったのさ
Otori Emu
Emu
そうだったんだ……。
よかった~!!
Tenma Tsukasa
Tsukasa
そういうことなら安心したが……。
しかし、わかりづらいな
Kamishiro Rui
Rui
あんまり素敵なことがあると、
逆に冷静になってしまうのかもしれないねえ
Kamishiro Rui
Rui
——僕の夢はね、誰が見ても笑顔になれる、
どんな垣根も越えられるような、そんなショーを作ることなんだ
Kamishiro Rui
Rui
昔は、それができなかった。
僕自身が歩み寄れなくてね
Kamishiro Rui
Rui
でも、今は違う。
僕はここで、僕の夢を叶えられている
Kamishiro Rui
Rui
だから——
Kamishiro Rui
Rui
ありがとう
Otori Emu
Emu
ねえねえ類くん!
次はどんなショーやろっか!?
Kamishiro Rui
Rui
え?
Otori Emu
Emu
あたし、類くんの演出で、
もっともっとショーやりたいんだ~~!!
Tenma Tsukasa
Tsukasa
そうだな! さらにオレを輝かせる演出を頼むぞ!
……事故のない範囲でな!
Kusanagi Nene
Nene
わたしが歌うシーンも、いい演出つけてよね?
Kamishiro Rui
Rui
……フフフ。
そうだねえ。それじゃあ次は——
Kamishiro Rui
Rui
——こんな演出はどうだい?

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