???
Mizuki
はあ~、いいお店だったなぁ。 置いてある服、全部ボクの好みにドンピシャだったし!
Mizuki
でも……
Mizuki
さっきから、誰にも会わないな……。 ていうか、店員さんすらいないし不用心じゃない?
Mizuki
まあ、試着し放題だしいいんだけど……
神山高校生徒B
本当だ……。 やっぱり、ああいう可愛い感じの服見るんだね
神山高校生徒A
ね~。普通にいてびっくりした
Mizuki
(……ああいう人達もいないし、 人目を気にしなくていいのは、めちゃくちゃ楽でいいな)
Mizuki
さ~て、次は隣の雑貨屋さん見よっかな♪
Mizuki
おおー、ナチュラルテイストでオシャカワじゃん! この小物入れもいい感じ!
Mizuki
あ、マステもいろいろある! 色も柄もカワイイし、コラージュに使ってみたいな!
Mizuki
次は……って、何このお店のマカロン! レース柄にデコってある!
Mizuki
わあ! こっちのは生地と生地のあいだに 花の飾りが挟んである! カワいすぎて食べられないよ~!
Mizuki
はー、楽しぃ~! 全部のお店が、ボクの好みドストライクなんだけど!
Mizuki
食べ物もあるし、もうここに住みたいくらいだよ~
Mizuki
えーっと、あと行ってないのは……。 あの角っこの服屋さんかな
Mizuki
へえ、服も充実してるけど、 アクセサリーも結構いろいろあるじゃん!
Mizuki
……あ、この服いいなあ。 色はカワイイけど、デザインがシンプルだし、 アクセサリーを合わせやすそう!
Mizuki
えへへ、何かいいのあるかな~……ん?
Mizuki
何これー! 食べ物風のアクセサリーとかあるじゃん!
Mizuki
お、チーズケーキがついたネックレス、はっけ~ん♪ しかも、絵名が好きなベイクドタイプ!
Mizuki
あ、カレーがついてるネックレスも発見♪ 福神漬けもちゃんとついてて、おいしそ~
Mizuki
あとはカップ麺とかないかな~……って、あった!
Mizuki
あはは! 絵名達がこれ見たら、どういう反応するかな~
Mizuki
まふゆの反応も気になるなぁ。 どの食べ物のアクセなら、興味持ってくれるんだろう?
Mafuyu
……興味ない
Ena
あんたって本当にノリ悪いんだから。 ……あ、これとかどう? おしるこがついてるヘアピン
Kanade
ふふ、お餅が伸びてる。 可愛いね、それ
Mafuyu
……なんでそれを私に薦めるの?
Ena
冬の食べ物だからに決まってるでしょ。 ほら、こっちにはおせちもある
Mizuki
せっかくだし、ここにある服と合わせてみちゃう? ほらこのブラウスなら、おしるこの色と合いそうだよ!
Kanade
おしるこに合わせるんだ……
Mizuki
あはは! まふゆはスタイルもいいし、 たいていの服は似合っちゃうからね~
Mizuki
あ、でもよく着てる普段着と合わせるなら、 こっちのトップスがいいかも
Ena
それなら、あっちの——
Mafuyu
言っておくけど、どっちも着ないよ
絵名・瑞希
『えー……』 『えーっ!』
Kanade
ふふ……
Mizuki
…………
Mizuki
(もしここに3人がいたら、 こんな感じでワイワイできたのかな)
Mizuki
(ボクが服の色とかで悩んだら、 絵名が相談に乗ってくれたりして……)
Mizuki
(奏はお腹すいたら、一緒にケーキ食べてくれるかな)
Mizuki
(まふゆはいつもどおりかもしれないけど、 おもしろいもの見つけたら何か反応してくれるかも)
Mizuki
(いつもの打ち上げみたいなノリで、楽しく過ごして——)
Mizuki
…………
Mizuki
ここは、ボクの大好きな物がたくさんあって……。 面倒な人達もいなくて、すごく楽なのに——
Mizuki
どうして、こんなに寂しい気持ちになるんだろう……
Mizuki
(やっぱりボクは、みんなのことが……)
Mizuki
……そういえば、奏に絵コンテ見てもらったんだった。 ご飯食べて、作業の続きしなくちゃ
Mizuki
……え? 足音?
Mizuki
メイコ……!?
Mizuki
どうやってここに来たの!? ていうか、ここがどこだか知ってる!?
MEIKO
……落ち着いて
MEIKO
——ここは、想いの欠片のセカイよ
Mizuki
想いの、欠片のセカイ……?
MEIKO
セカイには、まだセカイになってない、 誰かの想いの欠片が届くことがある
MEIKO
ここに来る前、光る物に触ったでしょう? 欠片に触れると、こうやってその想いをのぞけるの
Mizuki
あ……あの光る玉がそうだったんだ
Mizuki
うーん……。そんな物が落ちてることがあるなんて、 セカイって本当に不思議な場所だなぁ
Mizuki
じゃあ、メイコも想いの欠片に触って、 ここに来たってこと?
MEIKO
ええ。そうしたらあの扉が見えて、 入ったらここにつながっていたの
Mizuki
扉?
Mizuki
(あ……メイコの奥のほうに扉がある)
Mizuki
(さっきこの辺りのお店を見てまわってる時には なかった気がするけど……)
Mizuki
まあ、いいや。 あの扉から、帰れるんだよね
MEIKO
ええ。 ——でも、いいの?
Mizuki
え?
MEIKO
あなたが戻ろうとしている場所は、 あなたにとって、あまり気持ちのいい場所ではないでしょう?
Mizuki
……まあ、ね
Mizuki
でも——
Mizuki
向こうじゃないと、みんなと一緒にいられないからさ
Mizuki
(それに——)
Mizuki
(……絵名は『待つ』って言ってくれたのに、 帰らなかったら約束を破ることになっちゃう)
Mizuki
(というか、絵名なら血眼になって探すまでありそう。 奏も、まふゆも心配するだろうし)
Mizuki
——だから、帰るよ
MEIKO
……そう
MEIKO
それなら、私の後ろにしっかりついてきて
Mizuki
わかった! よろしくね、メイコ
Mizuki
(……ありがとう。 とっても楽しかったよ)
Mizuki's Room
Mizuki
——ふう、帰ってこれた~
Mizuki
(扉をくぐって、いつものセカイを見た時は、 なんかすごく安心しちゃったな)
Mizuki
『みんな、いるー?』
Mafuyu
『……いるよ』
Mizuki
『お、雪じゃん! やっほー! ちょうど話がしたかったんだ♪』
Ena
『ちょっと、Amia。うるさい。 耳にキーンと来たんだけど?』
Mizuki
『あははっ、ごめんごめん!』
Kanade
『……Amia、なんだかすごく元気だね』
Ena
『そういえば、なんかテンション高いかも。 何? 夕ご飯が好きな物だったとか?』
Mizuki
『えへへ、そうかもね~』
Mizuki
『それより、みんなでちょっと話そうよ! 今、そういう気分なんだ♪』