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Chapter 6: ? (edit)
もうひとつの出会い (Mou Hitotsu no Deai)
もうひとつの出会い (Mou Hitotsu no Deai)
Hospital
Kanade
……う……。
あれ? ここは……?
あれ? ここは……?
Middle Schooler Honami
あっ……!
家事代行センターの女性
宵崎さん! 奏さん、気がつかれましたよ!
Kanade's Grandmother
奏ちゃん!? ああ、よかった……!
Kanade
おばあ、ちゃん……?
……なんで……?
……なんで……?
Kanade
それに……その人達は……?
Kanade's Grandmother
この人達はね、おばあちゃんが頼んだ
家事代行センターの人達よ
家事代行センターの人達よ
Kanade's Grandmother
電話では、奏ちゃんには心配いらないって言われたけど、
やっぱり不安になってねえ……。
勝手なんだけど、奏ちゃんの家に行ってもらうようお願いしたの
やっぱり不安になってねえ……。
勝手なんだけど、奏ちゃんの家に行ってもらうようお願いしたの
Kanade
……そうだったんだ……。
でも、どうして病院に……?
でも、どうして病院に……?
家事代行センターの女性
宵崎さんの家にお伺いした時、
インターホンを何度鳴らしてもお出にならなかったんです
インターホンを何度鳴らしてもお出にならなかったんです
家事代行センターの女性
それでお留守かと思って帰ろうとした時に、
穂波ちゃんが、宵崎さんが倒れているのを見つけてくれたんです
穂波ちゃんが、宵崎さんが倒れているのを見つけてくれたんです
Middle Schooler Honami
すみません。
何か倒れたような音がしたので……
何か倒れたような音がしたので……
Kanade's Grandmother
そんなこと謝らなくていいのよ。
あなたのおかげで奏ちゃんは助かったんだもの。
本当にありがとうね
あなたのおかげで奏ちゃんは助かったんだもの。
本当にありがとうね
Kanade's Grandmother
それにしても、今時はあなたみたいな若い子も
家事代行をしてらっしゃるのねえ
家事代行をしてらっしゃるのねえ
Middle Schooler Honami
あ、いえ。わたしはまだ働いてないんです
Middle Schooler Honami
高校に上がったらアルバイト始めたいなっていう話を
家族としていたら、人づてで家事代行の職場体験を
させてもらえることになっただけで……
家族としていたら、人づてで家事代行の職場体験を
させてもらえることになっただけで……
Kanade's Grandmother
あら、そうだったのね
家事代行センターの女性
ともかく穂波ちゃんが見つけてくれたから、
すぐに救急車を呼べたんですよ。
それで大家さんに鍵を開けてもらって
すぐに救急車を呼べたんですよ。
それで大家さんに鍵を開けてもらって
Kanade
……そう……
Kanade
ありがとうございます
Middle Schooler Honami
いえ。大事にならなくて、本当によかったです
Kanade's Grandmother
……奏ちゃん
Kanade's Grandmother
どうしてもひとりで曲を作り続けたいっていう気持ちは、
おばあちゃんもわかったわ
おばあちゃんもわかったわ
Kanade's Grandmother
でも、倒れちゃったら、曲も作れなくなっちゃうわ。
……お父さんみたいにね
……お父さんみたいにね
Kanade
…………
Kanade's Grandmother
それにお父さんが、あんなことになって、
そのうえ、奏ちゃんにまで何かあったら——
そのうえ、奏ちゃんにまで何かあったら——
Kanade's Grandmother
おばあちゃん……もうどうしたらいいか……
Kanade
あ…………
Kanade's Grandmother
だから奏ちゃん、お願い
Kanade's Grandmother
これからは、おばあちゃんが頼んだお手伝いさんに、
お料理やお掃除をしてもらってほしいの
お料理やお掃除をしてもらってほしいの
Kanade's Grandmother
……どうかしら?
Kanade
……おばあちゃん……
Kanade
(……お父さんが倒れたのは、わたしのせいだ)
Kanade
(だからわたしは、お父さんみたいに、
誰かを救う曲を作り続けなくちゃならない。
正直、家事代行の人に対応してる時間だって惜しい)
誰かを救う曲を作り続けなくちゃならない。
正直、家事代行の人に対応してる時間だって惜しい)
Kanade
(でも……)
Kanade
(今みたいな生活を続けてたら、
曲作り自体が進まなくなる……)
曲作り自体が進まなくなる……)
Kanade
……わかった。やってもらうよ
Kanade's Grandmother
本当!?
ああ、よかった……!
ああ、よかった……!
家事代行センターの女性
それじゃあ、お手伝いを始める時期と
頻度については、のちほど相談させてくださいね
頻度については、のちほど相談させてくださいね
Kanade
……はい
Kanade's Grandmother
あ……そうだわ。
穂波ちゃんが高校生になったら、
お手伝いに来てもらうのもいいかもしれないわね
穂波ちゃんが高校生になったら、
お手伝いに来てもらうのもいいかもしれないわね
Middle Schooler Honami
え?
Kanade's Grandmother
せっかくこうやって縁ができたんだもの。
奏ちゃんさえよければ、ですけど
奏ちゃんさえよければ、ですけど
Kanade
わたしは別に……
Middle Schooler Honami
……!
じゃあ、もしご縁があったら、よろしくお願いします
じゃあ、もしご縁があったら、よろしくお願いします
Kanade
あ、うん……
Middle Schooler Honami
今日は帰ったら、しっかり寝て、
ゆっくり休んでくださいね。宵崎さん
ゆっくり休んでくださいね。宵崎さん
Kanade
……うん。
ありがとう
ありがとう
Kanade's Room
Kanade
……やっと帰ってこれた
Kanade
早く、次の曲を作らないと……あ
Kanade
そうだ。
倒れる前に作ってた曲、まだアップロードできてない
倒れる前に作ってた曲、まだアップロードできてない
Kanade
早くアップしよう。
きっとこの曲ならたくさんの人を——
きっとこの曲ならたくさんの人を——
Kanade
たくさんの人を……
Kanade
…………
Kanade
(あの時……あのアレンジ曲を聴いた時——)
Kanade
(……あ、そっか。
サビをこう展開させれば全然印象が違う……)
サビをこう展開させれば全然印象が違う……)
Kanade
(エフェクトをかけるだけで、空間の広がりができて……、
いろんな景色が自然と頭に浮かんでくる)
いろんな景色が自然と頭に浮かんでくる)
Kanade
(すごい……。
この曲を聴いてると、
新しい曲のイメージがどんどんわいてくる——)
この曲を聴いてると、
新しい曲のイメージがどんどんわいてくる——)
Kanade
(曲のイメージが、びっくりするほどたくさん降りてきた)
Kanade
(生々しい絶望と消えたくないっていう気持ちが、
触れそうなくらい近くにあった)
触れそうなくらい近くにあった)
Kanade
(もしかしたら、あの、雪っていう人の力を借りればもっと——)
Kanade
(連絡をとってみよう)
Kanade
(……SNSのアカウントを作って、
DMに連絡がほしいって送れば——)
DMに連絡がほしいって送れば——)
Mafuyu's Room
Mafuyu
…………
Mafuyu
(……何もする気がおきない)
Mafuyu
(でも、やらなくちゃ。
やらなかったら私は……)
やらなかったら私は……)
Mafuyu
(私、は……)
Mafuyu
……?
Mafuyu
……アップした動画に、コメントが来てる……?
Mafuyu
一体誰が……
Mafuyu
…………え? これって……
Kanade
……来た。雪さんからの返事……
Kanade
(……『共同での楽曲制作、ぜひよろしくお願いします』、か。
よかった)
よかった)
Kanade
『ありがとうございます』……と
Kanade
(……そしたら、どうやって作っていこう。
メールでアレンジの方向性とファイルを送るか……)
メールでアレンジの方向性とファイルを送るか……)
Kanade
(でも文章だけだと細かいニュアンスが
伝わらないかもしれないし……)
伝わらないかもしれないし……)
Kanade
(そうだ。チャットツールを使ってみようかな)
Kanade
音楽ファイルをやりとりするのに便利なツールがあるって、
どこかのサイトに書いてあった気がする
どこかのサイトに書いてあった気がする
Kanade
ええと……そうだ。
『ナイトコード』だ
『ナイトコード』だ
Kanade
(雪さんに、ナイトコードでやり取りができないか聞いてみよう。
アプリのURLは……)
アプリのURLは……)
A few days later
Mafuyu
……ログインできた。
あとは、時間まで待てばいいのかな
あとは、時間まで待てばいいのかな
Mafuyu
(……ひとりで曲を作ってみても、結局何も変わらなかった)
Mafuyu
(でも、もしかしたら。
私の心を揺さぶったあの人と曲を作れば)
私の心を揺さぶったあの人と曲を作れば)
Mafuyu
(今度こそ、何かが変わるかもしれない)
Mafuyu
…………
Mafuyu
(また——行き止まりかもしれないけど)
Mafuyu
(……来た)
???
『あ……』
???
『あの……雪さん、ですか?』
Mafuyu
(……か細くて、けど、芯のある声)
Mafuyu
(この人が、K——)
Mafuyu
(あの曲を作った、私の心を揺り動かした人なんだ)