The Two Moon Rabbits/Story/Chapter 8

From Sekaipedia
MORE MORE JUMP!のー!
みんな
『お月見配信ー!』
みのり
今日は十五夜!
お知らせしてあったとおり、みんなでお団子を作ったり、
うさぎのお面を作ったりするよ!
みんな、準備はしてきた?
いつもどおり質問やコメントにも答えていくから、
わからないところはどんどんコメントしてね
愛莉
そ・し・て~!
今日の進行は雫よ。ハプニングもあるかもしれないけど、
温かく見守ってちょうだいね!
コメント
『雫ちゃんの司会楽しみ』
『雫ちゃん、頑張れー!』
みんな、ありがとう。
期待に応えられるように頑張るわ
それじゃあ、さっそくお月見のお団子を作っていくわね。
まず、用意するのはお米と、もち米……
みのり
おー! って、え? お米?
お団子って、お米から作るんだっけ?
いや、団子粉から作るはずだけど……。
雫、そのレシピ見せてもらってもいい?
あら? 違っていたかしら?
レシピにはあんこやきな粉もいるって
書いてあるんだけど……
愛莉
ふむふむ、たしかに——って、これおはぎのレシピじゃない!
お月見団子のレシピはないの!?
あら? ちゃんと用意してたはずだったのに……
みのり
あっ、スマホで検索したら出てきたよ!
このレシピで作ろうよ!
愛莉
ていうか、材料は大丈夫なの?
違うの買ってきてるんじゃ……
それなら大丈夫。もしも足りなかったらって思って、
私のほうでも予備を準備してたから
あ……ありがとう、遥ちゃん……!
コメント
『いつもの雫ちゃんだw』
『おはぎも作ってほしい』
『遥ちゃんさすが~!』
ふふ、おはぎも美味しいよね。
また別の配信で作ってみようか
みのり
さんせーい!
楽しみだね!
愛莉
そうね……。
じゃ、雫。気を取り直して進めてちょうだい
はーい。じゃあ、お月見団子を作っていくわね。
まず、団子粉と水を混ぜて——
あとはお団子を冷水にさらして、冷めるのを待つだけだね。
お団子作りのコーナーはいったん休憩かな
それじゃあ、そのあいだに
次のコーナーへいきましょうか
みのりちゃん、いい?
みのり
うんっ! せーの!
みのり・雫
『みんなで作ってなりきり! うさぎさん!』
みんな
『いえーい!』
みのり
お月見といえばうさぎ!
このコーナーでは、みんなでうさぎのお面を作って、
そのお面でうさぎになりきっちゃうよ!
私達と一緒に、みんなもお面を作ってみてね
愛莉
作ってるあいだも、
コメントや感想をじゃんじゃん送ってちょうだい。
お月見の思い出話とかもしてくれたら嬉しいわ
じゃあ、作っていきましょうか
みのり
はーい!
コメント
『どんなうさぎができるのかな』
『私も一緒に作るよ!』
『お月見かー。最近意識したことなかったなー』
コメント
『たしかに花見はやるけどお月見はあんまりしないかも』
『お団子をスーパーで見かけるくらいだったかな』
コメント
『モモジャンのお月見の思い出とか聞きたいなー』
私達の思い出話、か……
みのり
うーん、みんな何かある?
私は……
愛莉
雫、思い出深い話があるんじゃない?
えっ? えっと、たしかにあるけど、
おもしろいかどうかは……
コメント
『聞きたい!』
『雫ちゃんのお月見の思い出教えて!』
みんなも気になってるみたいだよ、雫
みんな……。
それじゃあ、少しだけ話すわね
私ね、ひとつ下の妹がいて、
小さい頃はよく一緒にお月見をしていたの
幼稚園でのお月見会では
お団子やうさぎさんのお面を一緒に作ったりして
幼稚園を卒園してからも、
十五夜は家族で一緒にお月見をしていたのよ。
ふふ、お月見は毎年の楽しみになっていたわね
仲がいい姉妹なんだね
みのり
雫ちゃんは、妹さんのことが大好きだもんね!
ふふ、そうね。
しぃちゃんっていうんだけど、
可愛いくて、真面目で……とっても大好きなの
私の両親は共働きで忙しくて、
両親とすごせる時間が少なかったんだけど……。
しぃちゃんと一緒にいる時は、全然寂しくなかったのよ
コメント
『仲良さそう』
『妹さん、雫ちゃんそっくりのイメージ』
ふふっ、みんなにも見てほしいくらい可愛いの。
でも、可愛いだけじゃなくて、とっても芯が強い子なのよ
バンドでプロになりたいって小さい頃から言ってて、
今は大切なお友達と一緒に、夢に向かって頑張ってるの
いろいろ大変なことや悩むこともあったけれど、
それを乗り越えて今も努力し続けてるのよ
愛莉
ふふ、がんばり屋な妹さんなのね
ええ! 本当にそうなの!
私も……夢に向かって頑張ってるしぃちゃんを見て、
何度も支えられたわ
でも……ときどきでいいから、甘えてほしいなって思うの
みのり
甘えて……?
ええ。いつだってみんなのことを想って
我慢して頑張っちゃう子だから
せめて私の前だけでは、
遠慮しないで甘えてくれたらいいなって
……雫らしいね
コメント
『いいお姉ちゃんって感じ』
『私も雫様に甘えたい……』
ふふ、ありがとう
私ね、昔……苦しいなって思った時、
しぃちゃんが頑張ってる姿を見て、すごく勇気づけられたの
それで——『私も頑張らなきゃ』って思えたのよ
だから、もし今度しぃちゃんが苦しんでいる時があったら、
その時は私が力になってあげたいの
私は今まで、しぃちゃんにたくさんのものをもらったから
志歩
……お姉ちゃん、小さい頃のことまで
配信でしゃべるなんて……
志歩
……でも……
志歩
私に勇気づけられてたなんて——
そんなこと、思ってたんだ
志歩
(私は支えられてばかりで、
お姉ちゃんに何もできてないと思ってた)
志歩
(でも——)
ミク
志歩だって、今まで苦しい時があっても
頑張って乗り越えてきたでしょ?
ミク
志歩が頑張ってるお姉さんを見てすごいと思ったように、
お姉さんも、そんな頑張ってる志歩を見て
励まされてたんじゃないかな?
志歩
(少しでも、お姉ちゃんの支えになれてたなら……いいな)
雫の声
『——それじゃあ、今日の配信はここまでよ。
みんな、また見てちょうだいね!』
志歩
……あ、終わった
志歩
……帰ったら、お姉ちゃんに声かけてみようかな
志歩
お姉ちゃん、いる? ……って、わっ
あら、しぃちゃん! おかえりなさい!
今、配信で作ったお団子を食べようと思ってたところなの
志歩
そうだったんだ。
あのさ、お姉ちゃん。今日——
愛莉の声
雫ー? どうしたの? 誰か来たの?
志歩
あ……
みのり
志歩ちゃん!
志歩
みのり。それに——
志歩
……すみません、みんないたんですね
志歩
えっと……お姉ちゃん。
またあとでにする
あ……そんな、気にしないで。
もう配信は終わってるから
そうよ、しぃちゃん。
一緒に食べましょう?
志歩
いや、いいよ。悪いし……。
お姉ちゃん、みんなと食べなよ
ええっ、みんなとも食べたいけれど、
しぃちゃんとだって食べたいわ
ほら、このお団子見て?
志歩
え、これ……。
うさぎの形のお団子……?
ええ、配信で作ったお団子よ。
昔しぃちゃんに教わったうさぎさんを作ってみたの。
うまくできているかしら
志歩
お姉ちゃん……
志歩
——わかった。今日だけだからね
しぃちゃん……!
それじゃあ、みんな。
紹介するわ、妹のしぃちゃんよ
しぃちゃん、紹介するわ。
MORE MORE JUMP!のみんなよ。
名前は——
志歩
桃井先輩、桐谷さん、……あとみのりでしょ。
みのりはクラスメイトだし、桐谷さんは
臨海学校で同じ班だったから話したことある
志歩
改めて……日野森志歩です。
姉がお世話になってます
愛莉
ふふっ、こちらこそよろしくね。
それにしても、しっかりしてる子ねー。
妹のセリフじゃないでしょ、これ
そうなの、しっかりした子なのよ!
愛莉
いや、姉よりしっかりしてるって言われて
誇らしげになるのはどうなのよ……
ふふ、私からも改めてよろしく。
これから、もっと仲良くなれると嬉しいな
志歩
うん、……こちらこそよろしく
みのり
志歩ちゃん、遥ちゃんのことでわからないことがあったら
なんでも聞いてね!
みのり
遥ちゃんも! 志歩ちゃんのことでわからないことがあったら
わかるところは答えるよ!
志歩
ふーん、私のことはなんでもじゃないんだ
みのり
うぅっ、だって志歩ちゃんのことは
雫ちゃんのほうが詳しいから……!
ええ、しぃちゃんのことでわからないことがあったら
なんでも聞いてちょうだい!
志歩
いや、直接聞いてくれたらいいから
ふふっ……
(しぃちゃんと、みんなと一緒にお月見できるなんて……
とっても嬉しいわ)
志歩
お姉ちゃん、どうしたの?
うふふ、綺麗な十五夜だなって思っていたのよ。
月にいるうさぎさんも、きっと私達を見て
ニコニコしてくれているんじゃないかしら
志歩
うさぎさんって……
志歩
…………まあ、そうかもね
志歩
ねえ、お姉ちゃん
なぁに? しぃちゃん
志歩
……私も、お姉ちゃんにたくさんもらってるから
え……
…………ありがとう、しぃちゃん

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