BREAK DOWN THE WALL/Story/Chapter 5

From Sekaipedia
Aoyagi Toya
Toya
この楽譜は……
KAITO
KAITO
ピアノの楽譜みたいだね
KAITO
KAITO
うわぁ、難しそうな曲だなぁ。 指が倍あっても弾けなそうだよ
KAITO
KAITO
なんて曲だろう? えっと、タイトルは……
Aoyagi Toya
Toya
……幻想即興曲
KAITO
KAITO
え?
Aoyagi Toya
Toya
これは、ショパンの幻想即興曲の楽譜ですね
KAITO
KAITO
えっ!? パッと見ただけでわかっちゃうものなの!?
Aoyagi Toya
Toya
あ、いえ。他の曲ならすぐにはわからないと思います。 ですがこれは……
Aoyagi Toya
Toya
昔、何度も練習していたので
KAITO
KAITO
あ……
KAITO
KAITO
そっか……。 そうだったね
KAITO
KAITO
っていうことは…… この楽譜も、冬弥くんの想いでできたものなのかな
Aoyagi Toya
Toya
はい。 きっと、そうだと思います
Aoyagi Toya
Toya
(……懐かしいな)
Aoyagi Toya
Toya
(あの頃は、毎日ずっとピアノに向かっていた)
Aoyagi Toya
Toya
(疲れて動かない指を、必死で動かして…… 目に映る景色が白くぼやけるほど)
Aoyagi Toya
Toya
(……本当に苦しかった)
Aoyagi Toya
Toya
(音楽というものの存在を 恨めしく思うことすらあった)
Aoyagi Toya
Toya
(だが、あの日々があったからこそ、俺は——前に進める)
Aoyagi Toya
Toya
(それは…… 俺が謙さんに与えられた課題についても、そうだ)
Aoyagi Toya
Toya
……課題……。 そうだ、カイトさん
KAITO
KAITO
うん?
Aoyagi Toya
Toya
以前手伝っていただいた、課題の件なんですが—— 活路が見えました
Aoyagi Toya
Toya
もう少しで成果を出せると思います。 楽しみにしていてください
KAITO
KAITO
冬弥くんがそう言うなら、心配はいらないね!
KAITO
KAITO
……でもちょっと、残念なんだよな~
Aoyagi Toya
Toya
え? 何がですか?
KAITO
KAITO
冬弥くんがしっかりしすぎてることがだよ!
Aoyagi Toya
Toya
…………。 ええと……?
Aoyagi Toya
Toya
俺がしっかりしていると、 なぜカイトさんは残念なんでしょうか
KAITO
KAITO
そりゃ、ボクの活躍の場がなくなっちゃうからさ!
Aoyagi Toya
Toya
……?
KAITO
KAITO
ボクも、課題を頑張るみんなの力に なれないかな~って考えてるんだけど、 冬弥くんには、いろいろ教えるまでもないっていうか……
KAITO
KAITO
今回も、ひとりでなんとかできちゃいそうだし!
Aoyagi Toya
Toya
なる……ほど……
KAITO
KAITO
まあ、つまりはもっと頼られたいんだよね~。 せっかく想いを叶える手助けをするために ここにいるんだしさ!
Aoyagi Toya
Toya
——カイトさんには、もう十分頼らせてもらってますよ
KAITO
KAITO
……え!? そ、そうなの?
Aoyagi Toya
Toya
はい
Aoyagi Toya
Toya
俺が悩んでいる時に、笑わせようとしてくれたり、 メイコさんと一緒に美味しいものを食べさせてくれたり……
Aoyagi Toya
Toya
そうやって気を配ってくれるおかげで、肩の力が抜けて…… また自分の問題と向き合う気持ちがわいてくるんです
Aoyagi Toya
Toya
だから——いつもありがとうございます、カイトさん
KAITO
KAITO
あはは! いや~、これはボクのほうが元気をもらっちゃったね!
KAITO
KAITO
でも、そっか。 ちゃんと冬弥くんの力になれてるなら、よかったよ
Aoyagi Toya
Toya
ええ。 これからも、頼りにさせてもらいます
KAITO
KAITO
うん!
KAITO
KAITO
みんながあの高い壁を超えられるように、 これからも全力で応援するよ!
Aoyagi Toya
Toya
はい。 その気持ちに応えて——
Aoyagi Toya
Toya
俺は必ず、RAD WEEKENDを超えます! そして——
KAITO
KAITO
ん? なんか今、音がしなかった?
Aoyagi Toya
Toya
たしかに、 あの壁のほうから聴こえたような……
Aoyagi Toya
Toya
……! カイトさん、壁にヒビが……!
KAITO
KAITO
えっ!? わ! しかも結構大きなヒビだね!
KAITO
KAITO
でも、なんで急に……?
Aoyagi Toya
Toya
(……この壁は、おそらく、 俺達のRAD WEEKENDへのイメージが作りだした壁だろう。 そうなると……)
Aoyagi Toya
Toya
……そうか。 そういうことか
KAITO
KAITO
え?
Aoyagi Toya
Toya
おそらくですが……
Aoyagi Toya
Toya
俺達のこの壁を超えたい——この先に行きたいという決意が、 ヒビを入れたんだと思います
KAITO
KAITO
なるほど……! じゃあ実際に超えちゃったら、 この壁はドカ~ンって崩れちゃうのかも!?
Aoyagi Toya
Toya
ふふ。そうかもしれませんね。 いずれにせよ——
Aoyagi Toya
Toya
早くこの壁の向こうに行ってみたいものです

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