瑞希の部屋
Mizuki
25時、かぁ……
Mizuki
こないだはギスギスしちゃったし、 今日は楽しくやれるといいんだけど……
Mizuki
『やっほー！ 今日もみんなでがんばろーねー！ ……って、あれ、えななんだけ？ Kは？』
Ena
『……いない。ずっと離席中』
Mizuki
『え？ まさか、ついに倒れちゃったとか……？』
Ena
『……わかんない。DMも送ったけど、返事ないし』
Mizuki
『大丈夫かなぁ……。 やっぱ、全部自分でやるなんて無理なんだよ～。 雪がいないとさぁ』
Ena
『…………。 雪はいなくていいでしょ』
Mizuki
『もー、えななん、まだ根に持ってるわけ？ そんな怒ってると顔シワシワになっちゃうよ～？』
Ena
『別に、怒ってない。 ただ、もう雪はニーゴにいる必要がないって思っただけ』
Ena
『あんなすごい曲書けるなら、 ひとりでやっていけるんだし』
Mizuki
『まあ、そうかもしれないけど……』
Mizuki
（……なんか、えななんもちょっと変だな）
Mizuki
（まっ、ボクだって、そんな調子いいってわけじゃないけどね。 みんなそれぞれ悩みごとくらいあるわけだし）
Mizuki
（Kだってえななんだって、きっといろいろ……）
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？？？
だって本当は、 Kも、えななんも、Amiaも—— 誰よりも消えたがってるくせに
Mizuki
『…………』
Mizuki
『雪も、本当はずっとキツかったんだろうな』
Ena
『え？』
Mizuki
『雪がいなくなっちゃった日にさ、 ボク、雪と雪のお母さんが話してるの聞いちゃったんだよね』
Mizuki
『雪のお母さん、ナチュラルに価値観押しつける感じの人でさ。 でも、雪は全然気にしてないって感じで受け止めてたんだ』
Mizuki
『雪がいいならそれでいいのかなって思ったんだけど、 ……でも、セカイであんな感じになっちゃってたでしょ？』
Mizuki
『だから、雪はお母さんのために、無理に“いい子”に なろうとしちゃってたんじゃないのかなーって思って』
Ena
『…………』
Mizuki
『……ううん、お母さんのためだけじゃないかも』
Mizuki
『雪は、周りに合わせて自分を変えてっちゃったのかもしれない』
Mizuki
『みんなに慕われて、誰にも迷惑かけない、 みんなにとっての“いい子”にならなきゃって思って……』
Mizuki
『そういうのがキツくって、 全部わからなくなっちゃったんじゃないかなって。 なんとなく、そんな気がするんだ』
Ena
『………………』
Mizuki
『……別にボクは、雪みたいないい子ってわけじゃないけど』
Mizuki
『なんとなくわかるんだよね。 みんなに合わせなきゃいけないって空気が すごく苦痛だってことは、ボクも知ってるから』
Ena
『……Amiaでも、そういう風に思うことあるんだ』
Mizuki
『まぁねー』
Mizuki
『って、ちょっとちょっとー！ ボクでもってどういう意味！？ ボクだってキツい時はあるんですけど～！？』
Ena
『あ……ごめん。 でもAmiaって、わりといつも自由だし、 楽しそうにしてるから』
Mizuki
『え？ ま、そりゃねー！ 人生楽しまなきゃ損だし？』
Mizuki
『いつまでもネガってちゃ楽しくないもん！ えななんだって、毎日パーっとやりたいでしょっ♪』
Ena
『まあ……楽しくは、生きたいけど』
Mizuki
『……でも、雪は、そういう風にできなかったんだろうね』
Mizuki
『ひとりで抱えて、限界がきちゃったんだろうなぁ……』
Ena
『…………』
Mizuki
『だから、思うんだよね。 もし雪も苦しんでて、そのせいでああなっちゃって、 それで、消えちゃうっていうのは……』
Mizuki
『ボクは、ちょっと寂しいなって』
Ena
『…………』
Mizuki
『……ボク、もう１回、雪と話したいな』
Mizuki
『あの“Untitled”って曲を再生すれば行けるんだよね。 それなら……』
Ena
『たしかに、そう言ってたけど……。 でも、肝心の雪があんな感じじゃ、会いに行ったところで——』
Ena
『……今の音、何？』
Mizuki
『あ！ OWNの……雪の曲の更新通知だ！』
Ena
『え？ また新曲出したの……？ 前出してから、そんなに時間たってないのに——』
Mizuki
『え？ なに、２曲連続？ いや、３曲連続……？』
Ena
『どれだけ曲作ってんの？ いったいどんな曲……』
Ena
『……何、この曲。 これまでよりずっと……』
Mizuki
『うわっ、ゾワゾワする……！！』
Ena
『ヤバいでしょこれ……。 うまく言えないけど、これって、もう……』
？？？
もしそれでも見つからないなら、私はもう……消えるしかない
Ena
『……本気なの？』
Kanade
『……えななん、Amia』
絵名・瑞希
『K！』