Revival my dream/Story/Chapter 3

From Sekaipedia
幼い類
ふふふ……。
すごいなあ
女の子
類くーん! そんなすみっこで何してるの?
男の子
あっちでドッジボールしようよー!
幼い類
ふふ、そっちもいいけど、
ここにもっと面白いものがあるよ
女の子
おもしろいもの?
幼い類
うん。これだよ!
女の子
きゃーっ! おっきなガだー!
男の子
る、類くん!
なんでガなんて掴んでるの!?
幼い類
なんで? 観察するためだよ?
幼い類
ガの眼ってね、蝶と同じで、
六角形の小さな眼がたくさん集まってできてるんだ。
けど、ガは夜行性だから蝶よりもっと変わってるんだよ!
幼い類
モスアイ構造——すごく細かい突起がたくさん並んでる目に
なってて、この突起が光の屈折率を変化させるから、
取りこんだ光が反射しなくて、敵に見つかりにくいんだ
女の子
モス……?
幼い類
その構造をもとにして、光を反射しないフィルムも
作られてて——あ
男の子
うわーっ! 飛んだーっ!
女の子
きゃー! こっちこないでーっ!
幼い類
あ……行っちゃった
幼い類
……つまんないの
教師
はーい、みんな!
今日は嬉しいおしらせがあります!
女の子
おしらせー?
男の子
なんだろう?
給食にデザートつくのかな?
教師
なんと——全国夏休みコンクールで、
神代くんのロボットが最優秀賞をとりました!
幼い類
えっ?
男の子
コンクールに類くんが出したロボットって、
あの自分で動くやつだよね!
類くん、すごいな~!
女の子
さすが類くんだねー!
教師
神代くん、おめでとう!
前に出て、何か一言いってもらおうかな?
幼い類
——はい!
幼い類
僕が夏休みに作ったのは、
一緒に遊べるヒューマノイドロボットです
幼い類
どこでも一緒に行けたらいいなと思って、
不整地でも歩きやすい膝関節伸展歩行が
できるようになってます
男の子
ひざ……?
幼い類
あ、人間みたいに膝を伸び縮みさせて歩くってことだよ
幼い類
今はまだ歩けるだけだけど、いつかもっと大きくして、
走ったり踊ったりしゃべったりするような
ロボットにしたいんだ!
男の子
ふーん……。
よくわかんないけど、すごいね
幼い類
あ……
教師
はい、ありがとう!
審査員の人達も『小学生でこんなものを作るなんて天才だ!』って
すごく驚いていたそうよ
うしろの席の男の子A
あーあ、また先生が類くんばっかりほめてる
うしろの席の男の子B
しょうがないよ。類くんは天才だもん。
うちのお母さんも言ってたよ
うしろの席の女の子A
わたしも類くんみたいに頭がよかったらな~
幼い類
…………
幼い類
…………
類の母
類ー! ご飯だよ!
今日こそちゃんと野菜を……ん?
類の母
今日は元気がないみたいじゃない。どうしたの?
ロボット触ってる時はいつもご機嫌なのに
幼い類
…………
幼い類
……ねえお母さん。
僕って、みんなと違うのかな?
類の母
……学校で何かあったの?
幼い類
頑張って話しても、僕が楽しいって思うこと、
みんなに全然伝わらなくて……
幼い類
先生もクラスの子も、僕はみんなと違うって言うんだ
類の母
……そうだね。
類は、周りのお友達とはちょっと違うかもしれないね
幼い類
…………
類の母
でも、違ってても大丈夫だよ
幼い類
え? どうして?
類の母
お母さんもね、小さい頃から生物学の研究一筋だったせいで、
よく奇人とか変人とか言われてたの
類の母
でもロボット工学を研究してるお父さんと出会って、
初めて仲間がいた!って思えたんだよ
類の母
みんなにわかってもらえなくても、類には好きなものがあるし、
ちゃんとそれに熱中もできる
類の母
だからそんなに気にすることないよ。
人は人、自分は自分!
類の母
そうやって自分の好きなことを大事にしていけば、
いつか類にも、ちゃんと仲間ができるよ。
お母さんがお父さんに出会ったみたいにね
幼い類
……うん!
類の母
あ、誰か来たみたい。
ちょっと行ってくるね
幼い類
うん。いってらっしゃい!
幼い類
(人は人、自分は自分——)
幼い類
(そうだよね。
そう思ってれば、いつか——)
類の母
類~!
幼い類
……? どうしたの、お母さん。
そんなにニコニコして
類の母
お隣にね、新しいご家族が越してきたの
類の母
そこに類と同じくらいの歳の子がいてね。
むこうにもその話をしたら、ぜひ仲良くしてほしいって
幼い類
え……?
類の母
寧々ちゃん!
こっちに来てちょうだい
幼い類
はじめまして、寧々ちゃん。
よろしくね
幼い寧々
…………。
よ、よろしく……
寧々の母
あ、寧々!
あいさつなんだからお母さんの陰に隠れちゃダメでしょ?
類の母
学校も一緒になるみたいだから、
たまに面倒見てあげてね、類
幼い類
うん
幼い類
(ずいぶん人見知りな子みたいだな……)
寧々の母
寧々、お母さん達ちょっと用事があるから、
今日は類くんに遊んでもらおうね
幼い寧々
…………うん
類の母
ごめんね、類。
寧々ちゃんのことよろしくね
幼い類
大丈夫だよ。
ふたりとも、いってらっしゃい
類の母
うん。お願いね、類
寧々の母
ありがとう、類くん!
それじゃあ寧々、行ってくるわね
幼い寧々
あ……
幼い類
ねえ寧々ちゃん、何して遊ぶ?
幼い寧々
えっと……その……
幼い類
あ、このロボットで遊ばない?
バッタのジャンプの動きを参考にして作ったロボットなんだけど
バネの素材を変えてみたらすっごく跳ぶようになって——
幼い寧々
え、えっと……!
幼い寧々
え、絵本……読む……
幼い類
絵本? それならこの『宇宙のひみつ』が面白いよ!
一緒に読む?
幼い寧々
ひ……ひとりで読めるから……
幼い類
あ……
幼い類
(……あんまり話したくないのかな)
幼い類
(……でも、仕方ないよね。
人は人、自分は自分、だもんね)
寧々の母
面倒見てくれてありがとう、類くん!
寧々、お礼は?
幼い寧々
…………ありがと
寧々の母
あ、こら寧々!
ごめんね類くん、うちの子、すごく人見知りで……
幼い類
大丈夫だよ。
またね、寧々ちゃん
幼い寧々
…………

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