Revival my dream/Story/Chapter 2

From Sekaipedia
Wonderland SEKAI
Kamishiro Rui
Rui
——物語の舞台は、大きな館だ
Kamishiro Rui
Rui
その館は、ある大きな町と、ある大きな森の
ちょうどあいだに建っていた
Kamishiro Rui
Rui
そして町に住む“町の民”と、森に住む“森の民”は、
ケンカばかり繰り返していたんだ
町の民
『あんな着の身着のままで暮らす野蛮な人達が
町の近くに住んでいるなんて、恐ろしいわ』
町の民
『そうねえ。兵隊さんが森を見張ってくれているとはいえ、
心配よね』
町の民
『みんな危険な連中だって言ってるし、
早く追い出しちゃえばいいのにね』
森の民
『はぁ。あの町の人達ってほんとに、
わたし達のことを毛嫌いしてるよね』
森の民
『森に住んでる人をバカにしてるんだよ!
まったく、失礼しちゃう!』
森の民
『そうだ、みんなで追い出しちゃおうよ!』
Kamishiro Rui
Rui
そんなわけで、町の民と森の民は、
いつもピリピリしていたんだ
Kamishiro Rui
Rui
そんな中——館に、新しい将校がやってくる
Kamishiro Rui
Rui
彼が王様から請け負った使命は、
森の人々から町を守るということだ
Kamishiro Rui
Rui
その日も彼は、森の人々が町にやってきて悪さをしないか、
森の見回りをしていた
Kamishiro Rui
Rui
しかし——勝手に森に入られたことを怒った森の人々は、
石を投げつけて彼とその部下達を追い払おうとする
Kamishiro Rui
Rui
そうして、他の兵とバラバラになった将校は、
森の中で道に迷い、途方に暮れていた——が
Kamishiro Rui
Rui
そんな彼の前に、ある少女が現れる
Kamishiro Rui
Rui
森の民であるその少女は、将校が森の人々に見つからないように
彼を助けて館まで帰してくれるんだ
将校
『……どうして私を助けたんだ?
君は、この森の住人じゃ……』
森の少女
『そうだよ!
でも、あなた困ってたでしょっ?』
将校
『それはそうだが……』
森の少女
『それにね、森のみんなは“町の連中は悪人ばかりだ”って
言うけど、あたしはそんな人ばっかりじゃないと思うの!』
森の少女
『だからもっとお話してみたいなーって思って!』
森の少女
『あ、でも今日はもうみんなのところに帰らなくっちゃ!
それじゃあねー! また会おうね、将校さん!』
将校
『あ、君……!』
Kamishiro Rui
Rui
それ以来、少女は将校のもとへやって来るようになる
Kamishiro Rui
Rui
ただ、お互いが敵である以上、
話しているところを見られるのは危険だ。
そこで——
Kamishiro Rui
Rui
少女は、館のすぐ脇に立っている木によじのぼって、
2階にある将校の部屋を訪ねるんだ
森の少女
『こんにちわーっ♪』
将校
『うわっ!!
ど、どうして君がここに!?』
森の少女
『将校さんのお部屋だったらいっぱいお話できると思って、
来ちゃった!』
将校
『た、たしかにここなら周りの目は気にしなくて済むが……』
将校
『というか、君はそこの木をよじ登って来たのか?』
森の少女
『うん! ちょうど枝が橋みたいに伸びてたから!』
将校
『な……!
森の住人というのはまったく野蛮な——』
将校
『……まあ、しょうがない。
助けてくれた相手を無下に追い返すのも失礼だからな。
入りたまえ』
将校
『ただし、一度だけだからな!』
森の少女
『はーいっ!』
Kamishiro Rui
Rui
こうして少女と将校は仲を深めていった。
将校は少女と話すうちに、森の人々も
自分達と同じ、平和を望む人間だと気づいていく
Kamishiro Rui
Rui
どうにかお互い憎みあわず、手を取りあって生きる方法は
ないか——。将校はそう考えて、少しずつ町の人間にも
働きかけていくようになる
Kamishiro Rui
Rui
その結果、森の人々と町の人々は、
お互いを信じられるようになっていったんだ
Kamishiro Rui
Rui
さらに、彼らは本当にお互いを信頼している証として、
それぞれが大事にしている宝物を交換することで、
より一層仲を深めようとした
Kamishiro Rui
Rui
しかし、そんな将校をうとましく思う男がいた。
それは、王様の下につく大臣だ
大臣の部下
『まったく……。あの男のせいで計画が台無しだ』
大臣の部下
『森に眠る“黒い油”を奪う口実を作るためにも、
町の人間と森の連中はいがみあっているべきだ。
そのために悪いうわさまで流したというのに……』
大臣の部下
『……そうだ!
あの男を追い出してしまえばいい』
大臣の部下
『たしかあの男は、森と町、互いの宝を交換する約束の
見届け人として、双方の宝をいったん預かると聞く』
大臣の部下
『ならば交換する前にあの男を捕まえて、
町の民、森の民、それぞれには、
相手が約束を破って宝を奪ったと伝えれば——』
Kamishiro Rui
Rui
こうして将校は大臣の部下に捕まり、
館の自室に軟禁されてしまう
将校
『く……! やっと町の人々と森の人々が
仲良くなれそうだったのに、こんなところで……!』
Kamishiro Rui
Rui
そして大臣のせいで、森の人々と町の人々は、
大きな戦いをおこそうとしてしまう
Kamishiro Rui
Rui
そこへ少女がやってくる
Kamishiro Rui
Rui
少女は将校と、彼が持っている宝物さえ戻れば、
みんなが再びわかりあえると信じて、
将校を助けようとするんだ
Kamishiro Rui
Rui
そうして将校の部屋に行くべく木に登るものの、
窓まで伸びていた木の枝は切られてしまっている
森の少女
『どうしよう……!
やっとみんな仲直りできそうだったのに、
将校さんが捕まったままじゃ……!』
森の少女
『——あたしが将校さんを、助けなきゃ!』
Kamishiro Rui
Rui
そこで少女は——跳ぶんだ。
木から窓への大跳躍さ
Kamishiro Rui
Rui
落ちたら大けがだ。
それに兵隊に見つかってひどい目にあわされるかもしれない。
そんな中、彼女は跳ぶんだ
Kamishiro Rui
Rui
人々によって作られた、大きな垣根を超えるためにね
Kamishiro Rui
Rui
その後、少女が将校を助けたことで、
森の民は兵隊の攻撃から逃れることができる
Kamishiro Rui
Rui
そして最後は、少女と将校の説得によって、
町の民と森の民は手を取りあえるようになるんだよ
Kagamine Rin
Rin
——めでたしめでたし!だねっ♪
Kusanagi Nene
Nene
…………
Kusanagi Nene
Nene
(これって、Ruiが昔考えた……)
Kusanagi Nene
Nene
(——そっか。
ちゃんと吹っ切れたんだね、Rui)
Kagamine Rin (Wonderlands×Showtime)
Rin
ねえねえ、今のショー、
おっきな家のあるところでやるんだよね?
Kagamine Rin (Wonderlands×Showtime)
Rin
いいなぁ、楽しそう~!
リンも見てみたいなぁ~
Hatsune Miku (Wonderlands×Showtime)
Miku
ミクもミクも~!
Kamishiro Rui
Rui
それじゃあ、一番近くで見られるように、
スマホを特等席に置いておくよ
Kamishiro Rui
Rui
もし興味があるならリハーサルも見ていくといい。
ふたりとも、どうかな?
Kagamine Rin (Wonderlands×Showtime)
Rin
わーい☆
ミク、楽しみだね~♪
Kamishiro Rui
Rui
フフ。観客は多ければ多いほどいいからね。
助かるよ
Kamishiro Rui
Rui
それで——みんな、どうだい?
軽くとおしてやってみたけれど
Tenma Tsukasa
Tsukasa
うむ! 申し分ないと思うぞ!
シチュエーションも場所に合っているしな
Kusanagi Nene
Nene
配役も、今やったので良かったと思う
Otori Emu
Emu
じゃあ、あたし森の女の子!?
やったー!!
Otori Emu
Emu
バッチリ跳ぶから、まかせてね! Ruiくん!
Kamishiro Rui
Rui
——ああ。
まかせたよ、Emuくん
Kamishiro Rui
Rui
万一落ちた時のための安全策も考えてあるから、
思いっきり跳んでくれたまえ!
Otori Emu
Emu
うんっ!!
Kusanagi Nene
Nene
……ふふ
Kamishiro Rui
Rui
しかし嬉しいな。
昔考えてた演出を、ここでできるなんてね
Kagamine Rin (Wonderlands×Showtime)
Rin
昔?
Ruiくん、どれくらい前から考えてたの?
Kamishiro Rui
Rui
ああ。小学2年生の頃だから——、
だいたい10年前くらいかな
Otori Emu
Emu
ええっ!? 10年前!?
Kagamine Len (Wonderlands×Showtime)
Len
そんなにちっちゃい頃から考えてたなんて、すごいね~!!
どうやって思いついたの? 気になる~!
Otori Emu
Emu
気になる気になる~!!
Tenma Tsukasa
Tsukasa
ええい、交互にやかましい!
幼稚園かここは!
Tenma Tsukasa
Tsukasa
だが……どうやって考えついたのかは
オレも興味があるな
Kusanagi Nene
Nene
あ、それは……
Tenma Tsukasa
Tsukasa
む? 何かまずいのか?
Kamishiro Rui
Rui
フフ。大丈夫だよNene。Tsukasaくん
Kamishiro Rui
Rui
じゃあこのショーを思いついた時の
話をしようか
Kamishiro Rui
Rui
——昔々のお話さ

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