Chapter 1: ? (edit)
振り返る月日 (Furikaeru Tsukihi)
振り返る月日 (Furikaeru Tsukihi)
Midnight
Kanade's Room
Kanade's Room
Kanade
……3小節後に転調して——
Kanade
……うん。
この調子なら、明日には完成しそう
この調子なら、明日には完成しそう
Ena
『あ、K。ちょっとサビのイラストで悩んでて
意見もらいたいんだけど、見てもらっていい?』
意見もらいたいんだけど、見てもらっていい?』
Kanade
『うん、わかった。
…………』
…………』
Ena
『どう? 気になるところあった?』
Kanade
『……全体的な方向はいいと思う』
Kanade
『ただ、色が暗すぎるかな。
この曲は、暗闇の中にいるっていうより、霧の中にいるような
イメージだから、それに合わせてほしい』
この曲は、暗闇の中にいるっていうより、霧の中にいるような
イメージだから、それに合わせてほしい』
Ena
『そっか……。じゃあ構図はそのままで
色使いを見直してみようかな……』
色使いを見直してみようかな……』
Mizuki
『お疲れー。
遅くなってごめんね、みんな順調?』
遅くなってごめんね、みんな順調?』
Kanade
『お疲れAmia。
曲のほうはもうすぐ完成すると思う』
曲のほうはもうすぐ完成すると思う』
Ena
『私のほうはまだかかりそう。
悪いけど、もうちょっと待ってて』
悪いけど、もうちょっと待ってて』
Mizuki
『うん、了解!
じゃあもうちょっと新しい素材探してよっかな』
じゃあもうちょっと新しい素材探してよっかな』
Mafuyu
『……おまたせ』
Mizuki
『おっ、雪じゃん。お疲れー。
学校の課題終わったの?』
学校の課題終わったの?』
Mafuyu
『うん。……K。
今から歌詞の調整をしたいんだけど、いける?』
今から歌詞の調整をしたいんだけど、いける?』
Kanade
『うん、いけるよ』
Mizuki
『あっ、じゃあボク達はチャットで相談してるね』
Ena
『何かあったら、チャット飛ばしてくれる?』
Kanade
『うん。またあとで』
Mafuyu
『……じゃあK、ここの歌詞なんだけど……』
Kanade
『うん』
Mafuyu
『——わかった。
じゃあ今言った箇所は言い回しを調整してみる』
じゃあ今言った箇所は言い回しを調整してみる』
Kanade
『うん、お願い。
調整はいつ頃終わりそう?』
調整はいつ頃終わりそう?』
Mafuyu
『……明日は予備校も部活もないから、
集中すれば、あさっての夜には上げられると思う』
集中すれば、あさっての夜には上げられると思う』
Kanade
『わかった』
Mafuyu
『ただ……来週から期末テストだから、
そこから月末まではあまりログインできないかも』
そこから月末まではあまりログインできないかも』
Kanade
『そっか……。
じゃあ、来週以降にログインできる日があったら
連絡くれると嬉しい』
じゃあ、来週以降にログインできる日があったら
連絡くれると嬉しい』
Mafuyu
『うん。それじゃあ、私も作業に戻るね』
Kanade
……期末テストか……
Kanade
(もうそんな時期なんだな)
Kanade
(そういえば、お父さんが倒れたのも
これくらいの時期だっけ)
これくらいの時期だっけ)
Kanade
(……お父さん……)
Kanade's Dad
奏はこれからも、奏の音楽を作り続けるんだよ
Kanade
…………
Kanade
あれからもう、2年たったんだ……
The next day
Yoisaki Family - Kitchen
Yoisaki Family - Kitchen
Honami
じゃあ今日は、掃除とお夕飯の作り置きをしていきますね
Honami
寒くなってきたので、
今夜の分はあったかいシチューにしますね!
今夜の分はあったかいシチューにしますね!
Kanade
うん、ありがとう
Kanade
わたしは部屋で作業してるから、
よろしくね、望月さん
よろしくね、望月さん
Honami
はい!
Kanade
……ふう。完成した
Kanade
あ、キッチンからいい匂いがする。
……今日はシチューなんだっけ
……今日はシチューなんだっけ
Kanade
ちょっと見に行ってみようかな
Honami
お疲れさまです、宵崎さん。
今、ちょうどシチューができあがったところですよ
今、ちょうどシチューができあがったところですよ
Kanade
ありがとう。すごくいい匂い。
今日の夜食にさせてもらうから——
今日の夜食にさせてもらうから——
Honami
ふふっ、よかったら今食べませんか?
できたてですから、あったかくて美味しいと思いますよ
できたてですから、あったかくて美味しいと思いますよ
Kanade
……うん、そうだね。
それじゃあせっかくだし、もらおうかな
それじゃあせっかくだし、もらおうかな
Honami
はい。じゃあ今よそいますね。
あ、熱いから気をつけてくださいね
あ、熱いから気をつけてくださいね
Kanade
…………
Kanade
……そういえば、初めて望月さんがうちに来た時、
作ってくれたのもシチューだったね
作ってくれたのもシチューだったね
Honami
あっ、たしかにそうでしたね
Honami
ふふっ。あの頃の宵崎さんとは
本当に全然お話してなかったですよね
本当に全然お話してなかったですよね
Honami
シチューを作ったって伝えに行った時も、
曲作りに集中してて全然気づいてもらえなかったですし
曲作りに集中してて全然気づいてもらえなかったですし
Kanade
あ……そういえばそういうこともあったね
Kanade
(……たしかにあの頃のわたしは、
全然望月さんと会話してなかったな……)
全然望月さんと会話してなかったな……)
Kanade
(今思うと、ものすごく不愛想だっただろうな)
Honami
……宵崎さんと会ってから、
もう2年も経つんですね
もう2年も経つんですね
Kanade
……2年……
Kanade
(あの頃はずっと必死だったな。
ひたすら曲を作ってアップして、その繰り返し)
ひたすら曲を作ってアップして、その繰り返し)
Kanade
(ご飯だって、ロクなもの食べてなかったし。
そう考えると……)
そう考えると……)
Kanade
——昔に比べると、
ゆったりした気持ちになれてる気がするな
ゆったりした気持ちになれてる気がするな
Kanade
それに、昔より落ち着けるようになった気がする
Honami
落ち着ける……ですか
Honami
言われてみるとたしかに、
宵崎さんは段々穏やかな雰囲気になってる気がします
宵崎さんは段々穏やかな雰囲気になってる気がします
Honami
きっと、一緒に曲を作られている皆さんが
とてもいい人達なんでしょうね
とてもいい人達なんでしょうね
Kanade
え?
Honami
ほら、気持ちを打ち明けられる人達が近くにいてくれると、
穏やかになれませんか?
穏やかになれませんか?
Kanade
気持ちを……
Kanade
……たしかに、そうだね
Empty SEKAI
Luka
……退屈だわ
Luka
あの子達、新しい曲を作ってるから
忙しいのかしら
忙しいのかしら
Luka
ねえミク、ひとりでいた頃は
すごく退屈だったんじゃない?
すごく退屈だったんじゃない?
Miku
……ちょっと。
でも……
でも……
Miku
まふゆ達がここに来る時は、
寂しい気持ちの時もあるから。
だから、いっぱい来なくても大丈夫
寂しい気持ちの時もあるから。
だから、いっぱい来なくても大丈夫
Miku
今は元気なのかなって、思うから
Luka
あら。——ふふ、たしかに
そんな考えかたもあるわね
そんな考えかたもあるわね
Luka
でも、ここに来る時に寂しそうなら——、
私達のほうから様子を見に行けば、
楽しそうなあの子達に会えるんじゃないかしら?
私達のほうから様子を見に行けば、
楽しそうなあの子達に会えるんじゃないかしら?
Miku
……楽しそうな……
Miku
そういう風に考えたこと、なかった
Luka
でしょう?
……そうだわ、今から一緒に会いに行かない?
……そうだわ、今から一緒に会いに行かない?
Miku
……え?
Luka
ふふ、我ながらとってもいいアイディアだわ。
さあ、行きましょうミク!
さあ、行きましょうミク!
Miku
え……わわわ……