Chapter 5: Strange Producer
Character appearances:
フェニックスワンダーランド
Emu
すご～い！ あの人の周りで、ちっちゃいロボットが いっぱい動いてる！
？？？
あるところに、変わり者の錬金術師がいました
Tsukasa
あれは……ドローンか？ 小型のロボットとドローンでショーを？
Emu
わ～！ 飛んでる～！
？？？
彼は、錬金術を使って自由に暮らしていましたが、 その力のせいで、町に住む人々から恐れられてもいました
？？？
そんなある日、町に旅の一座がやってきました。 一座のショーを見た町の人々は皆笑顔になり、 覗き見ていた錬金術師もまた、そのショーに心を奪われました
？？？
錬金術師は思いました。 ——僕もこんな風に、素敵なショーをしてみたい！
Emu
うんうんっ！ わかるわかるー！
Tsukasa
（あの踊るロボットやら、ドローンやらもとんでもないが……。 あいつ、かなりやるな）
Tsukasa
（口上は緩急がきいてるし、身のこなしもいい。 それに、観客をロボットに感情移入させる巧みな演出！）
Tsukasa
（この演出はあいつが考えているのか？ ……もしそうだとしたら、演出家として引き入れれば……！）
？？？
錬金術師は、旅の一座を真似て、 たくさんショーの練習をしました
？？？
そうして、ある日、町の人々に自分のショーを見せました。 すると——
警備員の声
コラー！
Tsukasa
ん？
？？？
おっと。邪魔が入ってしまったね。 この続きは、また次回にしようじゃないか
えむ・子供達
『え～！？』
？？？
さて、錬金術師のショーは成功しただろうか？ 想像して待っていてくれたまえ！
警備員
待てー！ ハァ、まったく……毎度逃げ足が速い
Tsukasa
えーと、すみません。 今の人ってここのキャストじゃ……？
警備員
いや、彼は、この辺りで勝手にショーを始めるんだ。 注意すればすぐいなくなるんだが、たびたびやって来てね……
Emu
続き、いつ見られるのかなっ？ 町の人にショーを見せたらどうなったんだろうっ？
Tsukasa
おい、当初の目的を忘れてないか？ オレにふさわしいショーを作るために、 メンバーを集めてるんだぞ？
Tsukasa
（……しかし、あいつは良さそうだな）
神山高校 ２年Ａ組
Tsukasa
はぁ……あのあと、園内をそこらじゅう探したが、 結局見つからず、か……
クラスメイト
よう司！ フェニックスワンダーランドで働いてきたんだろ？ バイト初日はどうだったんだ？
Tsukasa
人の話を理解しないモンスターに出会い、 異世界に飛ばされ、怪力の着ぐるみに脅迫された！
クラスメイト
は？ またなんかの芝居の話か？
Tsukasa
だったらどれだけよかったことか……
Tsukasa
ああそうだ。このあたりで、 ロボットを使ってショーをしてるヤツを見たことはないか？
クラスメイト
……お前、いよいよおかしくなったか？
Tsukasa
いよいよとはなんだ！ オレはいつも正気だ！
クラスメイト
そのへんにロボットのショーするやつなんているわけが……。 ……ああ、でも……
Tsukasa
なんだ？ 心当たりがいるのか？
クラスメイト
神代類……って言ったかな。 最近隣のクラスに転入してきたやつ
クラスメイト
超名門校から転校して来て頭は相当いいらしいけど、 かなりの変人で、授業中にヘンな機械いじったり、 道端でパフォーマンスをやったりしてるらしいぞ
Tsukasa
……その話、くわしく聞かせてくれ！
放課後
Tsukasa
まったく、灯台下暗しとはこのことだ。 まさか隣のクラスにいたとは
Tsukasa
A組の天馬司だ！ 神代類はいるか？
B組の生徒
神代？ さあ。どっか行ったんじゃないか。知らないけど
Tsukasa
入れ違ったか。 すまないが、神代の行きそうな場所を知らないか？ もしくは伝言を頼んでも……
B組の生徒
え……。いや、アイツにはあんまり関わりたくないんだよな。 授業中も、なんかブツブツ言って笑ってるし……
Tsukasa
話を聞けば聞くほど相当な変わり者のようだな……。 しかたない、もう少し探してみるとするか
神山高校 屋上
Tsukasa
……中庭にも購買にもいないとは。 ここにもいなければ、さすがのオレもお手上げだ
Tsukasa
はぁ。しかし今時放課後に屋上にいるやつなんか、 カップルか変人くらいしか……
Tsukasa
おや、あれは……
Rui
やあ！ やっと来たんだね天馬くん。 待っていたよ。僕に用があるんだろう？
Tsukasa
何？ オレが探してたことを、なんで知ってるんだ
Rui
君をずっと見ていたからさ
Tsukasa
な……！ もしやお前は……オレのファン！？
Rui
ファン……？ フフ、それはおもしろい発想だね
Rui
確かにファンかもしれないよ。 君の頭の上を見てごらん
Tsukasa
む……！ これは、ドローンか？ もしかして、これでオレを見ていたのか？
Rui
ああ、そうだよ。 学校中を動き回る君がおもしろくてね。つい観察してしまったよ
Tsukasa
なんと……カメラやマイクまでついている！ これは神代が作ったのか？
Rui
ああ、そうだよ
Tsukasa
……すると、昨日のショーで使っていたロボットもか？
Rui
おや、僕のショーを見ていたのかい？ 君もどうやら、僕のファンのようだね
Tsukasa
いいや。オレはお前を勧誘しに来た！
Rui
勧誘？
Tsukasa
そうだ。単刀直入に言おう。 神代類！ このオレとともにショーをするぞ！
Rui
君と、ショーを？ ……それはなかなか、おもしろそうだねえ
Tsukasa
そうだろうそうだろう！ よし！ そうと決まればさっそく今から……
Rui
ショーを愛する者同士、それぞれ頑張ろうじゃないか。 それじゃあ天馬くん。また会おう！
Tsukasa
へ……？