< On Your Feet | Story
Crase Cafe
Kohane
変わった……?
ミク
うん。変わったよ
ミク
あんなにおどおどしてたこはねが、 『悔しい』って言い出すなんてね
Kohane
え……?
ミク
昔のこはねだったら言わなかったと思うよ。 大河さんみたいな人に負けて、『悔しい』って
Kohane
あ……
ミク
きっとこはねは、あの街で歌を始めて、 いろんな人と競ったり、認めてもらったりして——
ミク
自分の歌でできることがあるって 思えるようになったんだ
ミク
こはねには——シンガーとしてのプライドが生まれてたんだよ
Kohane
……シンガーとしての、プライド……
ミク
うん
ミク
歌うことに本気だから、今より少しでも、前に進みたいから—— だから、悔しいって思うんじゃないかな
ミク
その想いは、絶対に手放しちゃだめだよ
ミク
その悔しさがきっと、こはねを支えて、 前に進む道を見つけてくれるから
MEIKO
ええ。ミクの言うとおりだと思うわ
MEIKO
大河さんとの一件で失ってしまったものは、 たくさんあると思うわ
MEIKO
でもそういう時こそ立ち止まって、 今、持っているものに目を向けてみてもいいんじゃないかしら
MEIKO
あなた達は、失ってしまったものよりも、 掴んできたもののほうがずっと多いはずだから
Toya
掴んできたもの……か……
Toya
……たしかに、以前までの俺は…… 自分の気持ちさえ、よくわかっていなかった。だが……
Toya
新しい夢と出会い、父さんと向き合って、 ……自分の気持ちを、言葉にできるようになった
Toya
今では、大事な想いを見つけて曲に込めることも—— まだ少しではあるが、身についてきたと思う
Akito
……そうだな。オレも——
Akito
昔は、なんつーか……自分のことで一杯一杯だった。 それで、周りが見えなくなっちまうこともあったが……
Akito
でも今は、前より視野が広がった気がする。 おかげで周りが見えなくなることも、前よりなくなった
Akito
……頼もしいヤツらが周りにいるって、 そう思えるようになったからかもしれねえな
An
私は、最高の相棒と——最高の仲間に出会えた
An
……仲間ができたから、 今まで感じたことのない気持ちを、感じることができた
An
それから、みんなのおかげで——
An
私はここまで来れて……ここに立ててるって、思う
レン
——みんな本当に、いろんなものを掴んできたよね
Kohane
(……そうだ。 私もこれまで、いろんなものを見つけてきた)
Kohane
(でもそれは——私だけの力じゃない)
Kohane
……みんなのおかげだね
Kohane
ミクちゃん達と、 東雲くん、青柳くん、杏ちゃん……
Kohane
みんながいたから、今の私があるんだって思う
Kohane
いつもみんなが隣にいて、見守ってくれたから—— 一緒に走ってくれたから、ここまで来れたんだって思う
An
ふふ、それは私も同じだよ、こはね!
Akito
……ま、そうだな。 あの日お前らと会ってなきゃ、今のオレ達はなかっただろうしな
Toya
ああ。 それから、謙さんや、仲間になってくれたみんな、それに——
Kohane
街の人達、RAD WEEKENDを残してくれた凪さんと——
大河
鍛えたら、この嬢ちゃんの歌がどうなるのか、 ちょっとばかり興味がわいた
大河
RAD WEEKENDをイメージしに来たんだろ? なら立つべきは観客席じゃなく——あっちだ
大河
ばあさん、こいつらステージに上げていいだろ?
大河
嬢ちゃん、いい歌だ!
Kohane
……大河さんも
Kohane
(——そうだ)
Kohane
(大河さんは、歌うために大切なことも、 RAD WEEKENDを超える厳しさも……教えてくれた)
Kohane
(大河さんは私の、先生だった)
Kohane
(だから、いろんな気持ちがある。 ありがとうって気持ちも……悔しいって気持ちも……)
Kohane
それなら……
Kohane
それなら、私は——