志歩
草薙さん、ちょっと話したいことがあるの
寧々
え、っと……
類
じゃあ、あと片づけは僕達でやろうか。
僕は向こうからやっていくよ
僕は向こうからやっていくよ
司
まったく、仕方ないな
えむ
ピッカピカにするぞーっ☆
穂波
……わたし達もあっちで待ってようか。
ふたりで話したいみたいだし
ふたりで話したいみたいだし
咲希
うん、そうだね。
いっちゃんも行こ?
いっちゃんも行こ?
一歌
あ……、うん……
寧々
は、話ってなに……?
志歩
…………
志歩
さっきのショー、すごく良かった
寧々
……えっ
志歩
ああいうショーって、あんまり見たことなかったから
どう受け止めればいいかわからなかったけど
どう受け止めればいいかわからなかったけど
志歩
草薙さんの歌、すごくうまくて……
聴いてるうちに世界観に引きこまれた
聴いてるうちに世界観に引きこまれた
寧々
あ、ありがと……
志歩
だから不思議なんだけど
寧々
……?
志歩
そんなにうまいのなら、
もっと大きな劇団にだって入れるんじゃないの?
もっと大きな劇団にだって入れるんじゃないの?
志歩
フェニランの中にあるショーステージでも、
ここはかなり小さいほうだと思うし
ここはかなり小さいほうだと思うし
志歩
もっと大きなところでやったほうが、
たくさんの人に歌を聴いてもらえるし
あなたも輝けるはずでしょ?
たくさんの人に歌を聴いてもらえるし
あなたも輝けるはずでしょ?
志歩
それなのに、ここでショーをやる理由ってあるの?
寧々
そ、そんなこと、あなたに関係な——
志歩
…………
寧々
……っ!
寧々
(すごい、真剣な顔……。
わたしの答えを待ってるんだ)
わたしの答えを待ってるんだ)
寧々
(どうしてそんなこと聞くのかわからないけど、
……わたしの答えが、何かの助けになるなら)
……わたしの答えが、何かの助けになるなら)
寧々
みんな……ありがとう
寧々
みんなのおかげで、昔みたいに、
思いっきり歌えるようになれたの
思いっきり歌えるようになれたの
寧々
なんだか……ちょっと早いクリスマスプレゼントをもらった
みたいな気分だな
みたいな気分だな
類
……フフ。
それなら、僕らももうもらってるよ。ねえ司くん?
それなら、僕らももうもらってるよ。ねえ司くん?
司
ああ、そうだな!
えむ
こ~んなにニッコリ笑ってる寧々ちゃん、
初めて見れたよ~!
初めて見れたよ~!
寧々
あ……。
……えへへ
……えへへ
寧々
——わたしも、よくわかんない
志歩
えっ……?
寧々
でも、ここでショーをやるの、
……まあまあ好きなんだ
……まあまあ好きなんだ
志歩
そう、なんだ
咲希
うんっ! 演奏しようよ! みんなで!
志歩
いいね。何やる?
一歌
歌詞、書いてきたんだ。
前に咲希が作ってくれたメロディに
前に咲希が作ってくれたメロディに
志歩
歌詞? ふたりとも、曲作ってたの?
やるじゃん
やるじゃん
穂波
ふたりで曲作ってるなんてすごいね!
歌詞、見てもいい?
歌詞、見てもいい?
一歌
あっ、ちょっと、あとで……!
目の前で見られるのは、恥ずかしいから……!
目の前で見られるのは、恥ずかしいから……!
一歌
……でも、みんなでこの曲、演奏できたらいいな
志歩
……それ、なんとなくわかるかも
志歩
(プロになって、もっとうまくなりたい)
志歩
(あのバンドみたいに、音楽で誰かの心を揺さぶるような——
そんな演奏をしたい)
そんな演奏をしたい)
志歩
(でも……)
志歩
——私、みんなと演奏するの、好きなんだ
寧々
……そうなんだ
穂波
さっきのショー、本当におもしろかったね
咲希
うんうん、お兄ちゃんもカッコよかったな~♪
穂波
ふふ、そうだね
穂波
でも……志歩ちゃん、草薙さんに話ってなんだろう?
一歌
…………
穂波
一歌ちゃん?
咲希
いっちゃん、どうしたの?
一歌
……ごめん。私、忘れ物しちゃった。
ちょっと探してくる!
ちょっと探してくる!
咲希
あっ、いっちゃん!
一歌
(このまま帰ったら、絶対に後悔する。
今、草薙さんに話を聞かないと……っ)
今、草薙さんに話を聞かないと……っ)
志歩
あっ……
一歌
あ、志歩……!
一歌
もう、話は終わったの?
志歩
うん、一歌は?
一歌
ちょっと忘れ物しちゃって。
ごめん、すぐに合流するから
ごめん、すぐに合流するから
志歩
……わかった