Full Power! Wonder Halloween!/Story/Chapter 7

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うん、今日持っていくものは、
これで全部かな
さて――僕達のショーを作るために、頑張らないとね
えむ
あ! 類くんおはよう!
やあ、おはよう、えむくん。
昨日は心配かけたね
えむ
ううん! あたしは全然だいじょーぶっ!
でも……
…………
寧々
……類
…………
類、昨日は……
司くん、実は今日、試したいことがあるんだ
試したいこと?
新しい演出を思いついたんだ。
どうかな?
……ほう
新しい演出か。
面白そうじゃないか
――これからやる演出は、事故がないよう
マットを敷いたり、できる限りの配慮をしている
それでも、何が起きるかは分からない。
僕は役者に、いつも限界を超えてほしいと思ってしまうからね
……それでもやるかい?
――当たり前だ!
オレは未来のスター! 天馬司だぞ!
寧々
だ……大丈夫かな
えむ
き、きっと大丈夫だよ~!
実は前々からやってみたいと思って準備していた演出があってね。
これなんだけど
ボタン?
ああ。これを押すと――
な、なんだ!?
ステージの奥に、壁がせり上がって……!?
寧々
い、いつの間にこんなもの……?
えむ
わ~! おっきいね~!
ステージの屋根もこえちゃいそう!
えむ
……む? あそこにハシゴがかかってる!
上まで行けちゃいそうだね!
寧々
本当だ。まさか……あそこまで登らせるつもり?
フフ、さすが寧々だね。ご明察だ
――これを使うのは、ハロウィンショーのクライマックスシーンだ
死者達によって地獄の穴の底に落とされた園長は、
死者達から逃げながら、死にもの狂いで穴を這い上がる
このショーの山場のひとつだ、劇的に見せたい。
けれど……ただ奈落に落ちて出てくるだけじゃ
面白くない。そこでだ
“観客に見える穴”を作ることにしたんだ
えむ
観客に見える穴……?
寧々
あ……! このステージ全体を穴の底に見立てるってこと?
その通り
司くんがゾンビロボットに捕まり奈落に落ちたあと、
ステージ上は暗転!
その間に、司くんにはこの壁の一番上にまで
登ってもらう。あまり時間はないから急いでね
そして明転と共にジャンプ!
穴の底——ステージの上に着地してほしい
落下したあとは、這い上がるために
また壁を登ってもらうけれど……
モタモタしていると、ゾンビロボットに引きずり降ろされるから
速やかに登ってほしい
寧々
類、この高さでそれは……さすがに危ないんじゃない?
あそこからジャンプするなんて……
えむ
とっても楽しそう~!!
寧々
あのね……
……まったく、簡単に言ってくれるな。
暗転中に登るだけでも一苦労だぞ
しかも登るのをロボットに妨害される、だと?
でも司くんなら――できるだろう?
――ああ、当然だ!
オレはスターになる男だからな
さっそくやるぞ!
ゾンビロボットも用意しろ!
『うわああ~~~落ちる~~~!!』
(よし、高さはあるが着地はできる! ……んん!?)
し、下から強風が……!?
なんだこれは!
臨場感を出すための仕掛けだよ。
さあ、体勢を整えて、司くん!
(な、なにクソー!!)
寧々
ちゃんと着地した……!
えむ
司くんすごーい!
けど、大変なのはここからだよ
『な、なんだこの穴は……。
遊園地の下にこんな場所があったのか?』
『な……! 大量の死者が!
このままじゃ、オレもこいつらの仲間入りに……』
『こんなところで死んでたまるか!
絶対に地上に戻ってやるぞ!』
さあ、ここから襲ってくるゾンビロボットが10体だ!
無事に登りきれるかな!?
うぉおおおお!
ただ登るだけじゃダメだよ!
全身を使って魅せるんだ!
くっ……ならばこれでどうだ!!
ああ、いいね……! そこでゾンビロボットを振り落とそう!
いけるかい!?
当たり前だ! うりゃあああ!!
いいや君ならまだまだいけるはずだ!
もっと派手にいこうじゃないか!!
えむ
……えへへっ♪
類くん、とっても楽しそうだね!
寧々
……うん。そうだね
ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……。
も、もう……動けん……
お疲れさま、司くん。
新しい演出はどうだったかな?
まったく……本当に死ぬかと思ったぞ。
だが……
未来のスターにふさわしい、面白い演出だった。
観客もスタンディングオベーション間違いなしだ
いいか、類!
これからもお前は、お前のやりたい演出を全力でやれ!
どんな演出だろうが、オレはそれを完璧に演じてみせる!
それはよかった。ちょうど追加したい演出があったんだ
……フフ、何からやろうかなあ?
あ。と、とは言っても、あまり危険なものはだな……
いやぁ、やはり司くんは頼りになるね。
それじゃあ次は、人ひとり入るサイズの水槽を持ってくるよ
待て待て待て!
それで何をする気だ!?
えむ
えへへっ☆
えむ
ふたりが仲直りできてよかったね、寧々ちゃん!
寧々
うん。それに、とっても嬉しそう
寧々
……ちゃんと受け止めてもらえてよかったね、類

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