Chapter 10: Someday, In Order to Move On
Character appearances:
25時
奏の部屋
Kanade
『——うん、Amiaありがとう。 これならもうそろそろアップできそうかな』
Mizuki
『よかった～！ エフェクトをちょっと抑えたんだけど、 それが正解だったっぽいね！』
Ena
『私もいいと思う。 メロウな感じの雰囲気にもハマってるし』
Mizuki
『お、ホント！？ えななんも褒めるってことは相当いいんだろうな～♪』
Mizuki
『こうなると雪からの褒めも欲しくなっちゃう！ 雪はどう思う！？』
Mafuyu
『……いいと思う』
Mizuki
『ありがとうございま～す！』
Ena
『あんたねえ……。ま、今回はいっか』
Kanade
『ふふ……』
Kanade
『……そうだ。新しい曲のデモもできたから、聴いてほしい』
Ena
『本当？ じゃあ、セカイに行ってミク達と聴こうよ』
Mizuki
『だね！ ……あっ、そういえば セカイに新しい場所ができたの知ってる？』
Kanade
『え……？』
Ena
『あ、私もそこ行った！ 湖っぽい場所だよね』
Mizuki
『そうそう！ Kの曲が水の中から聴こえてきて 不思議な感じだったな～』
Kanade
『わたしの……』
Ena
『K、どうしたの？』
Kanade
『あ……えっと、そういう場所に行った夢を見たんだけど、 あれって本当のことだったのかも、と思って』
Mizuki
『夢？ へえ……、どんな夢だったの？』
Kanade
『えっと、女の子がなくしたぬいぐるみを探す夢で…… その時に、一緒に湖まで行ったんだ』
Ena
『ぬいぐるみ？』
Kanade
『うん。どう説明すればいいのかわからないんだけど……』
Mizuki
『そっか……。 じゃあ、ホントに夢と一緒の場所か見てみようよ！』
Kanade
『……そうだね、行ってみよう』
Mafuyu
…………
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誰もいないセカイ
？？？
Kanade
……やっぱり、あの夢の……
Mizuki
お！ じゃあもしかして、夢じゃなくてホントに来てたとか——
Miku
——みんな、来たんだ
Mizuki
ミク！ それにみんなも、ここにいたんだ！
Luka
ここなら、多少は暇つぶしができるもの
Ena
まあ、そうかもね。 湖でも遊べるし、ペンがあれば写生もできるし
Rin
絵名、今度持ってきて
Ena
はいはい
Miku
まふゆ……大丈夫？
Mafuyu
……うん
Ena
そういえば……あの湖、ちょっと変わってるよね。 この前来た時、中に何か見えた気がしたっていうか
Ena
……気のせいかもしれないんだけど、 私が描いた絵があったような気がしたの
Mizuki
絵名の絵？
Ena
あー……うん。 まふゆをスケッチした絵……
Mafuyu
…………
Mizuki
あ！ミク達と読んだ絵本もたしか、 湖の中から見つかったんだよね？
Miku
……うん
Ena
え、そうなんだ
Ena
奏の曲も、湖の中から聴こえるし…… やっぱりここには何かあるのかも
Mizuki
うーん……。 ねえミク、その絵本ってどうやって中から取ったの？
Miku
……まふゆが、湖の中から取った
Mizuki
え、まふゆが？
Miku
……うん
Mafuyu
…………
Miku
……もしかしたら、まふゆにしか触れないのかも
Mafuyu
え……
MEIKO
そうね。この湖がまふゆの想いで出来ているから—— 想いの持ち主じゃないと、沈んでいるものに 触れられないのかもしれないわ
Kanade
あ……
Ena
じゃあ、まふゆ。何かないか探してみたら？
Mafuyu
…………できない
Mizuki
え……
Ena
できない、って…… 何かあったの？
Mafuyu
…………ごめん
Mafuyu
でも……
Miku
まふゆ……
Luka
できないのなら、しょうがないけれど……
Luka
これも、本当のまふゆを探す手がかりになるかもしれないわよ
Mafuyu
……！
Luka
きっと、この湖には—— あなたを形成するものが沈んでいる
Luka
そこには、まふゆにとって思い出したくないものも あるかもしれないけれど
Luka
湖の中から聴こえる奏の曲や、うさぎの絵本のような とても大切な——まふゆに必要なものもあるでしょう？
Luka
それを見つけることは、 本当の自分を見つける糸口になるかもしれないわ
Mafuyu
……本当の……
Mafuyu
でも……
Kanade
まふゆ……
女の子
きっと、もう見つからないよ
Kanade
——大丈夫だよ
Mafuyu
え……
Kanade
もしかしたら、まふゆにとって よくないものが見つかるかもしれないけど——
Kanade
わたし達が、一緒にいる
Kanade
だから——大丈夫
Mafuyu
……奏……
Mafuyu
…………
Mafuyu
…………わかった
Mafuyu
…………っ
Ena
何か見つけた？
Mafuyu
……あ……
Ena
それって……
Mizuki
絵名が描いたまふゆの絵だ……！ へえ、画像では見せてもらったけど ちゃんと実物見たの初めてかも
Kanade
本当に、湖の中にあったんだ
Ena
しかも全然濡れてないし……。 ……ホント、不思議
Mafuyu
…………
Mafuyu
……今度は、ニーゴの楽譜
Mizuki
しかも、結構前のやつじゃん！
Kanade
懐かしいな……。 この頃も、まふゆにミックスしてもらってたね
Mafuyu
……うん、覚えてる
Mafuyu
あの頃……本当の私を探してて…… ひとりじゃ、見つからなかったけど——
Mafuyu
……奏と曲を作っていけば、見つかるかもって思えた
Kanade
……まふゆ……
Luka
……もしかしたら、他にも何か 沈んでいるのかもしれないわね
Mafuyu
それなら……もう１回……
Mafuyu
……あ……
Kanade
どうしたの？
Mafuyu
……何か、掴めた……
Mafuyu
（なんだろう、これ……。 丸くて、つるつるしてる……）
Mizuki
なになに？ 次はどんなのかな！？
Ena
まふゆ、引き上げてみてよ
Mafuyu
……うん
Mafuyu
……ッ！ これ……
Mafuyu
（りんご——）
まふゆの母
ちゃんと食べられる？ まだ、起きるのはつらいかしら
まふゆの母
……しょうがないわね。 はいまふゆ、あーんして
まふゆの母
……ふふっ。今日のまふゆは甘えん坊さんね
まふゆの母
ほら、ねーんね……。 まふゆは、いいこ……
Mafuyu
……お母さん……
Mafuyu
（……あたたかい……）
Mafuyu
（でも、苦しい……っ）
Mafuyu
（お母さんは……私を……）
Mafuyu
（私を——）
Ena
——あれ？ それって……りんご？
Mizuki
みたいだね。 でも、なんでりんごなんだろ？
Kanade
そういえば……まふゆが風邪を引いた時、 りんごをすりおろして食べてもらったっけ
Kanade
あの時は、いろいろ慣れなくて手間取っちゃったけど…… まふゆがりんごを食べてくれて、安心したな
Mafuyu
……あ……
Mafuyu
（どうしてだろう——）
Mafuyu
（苦しいのに……）
Mafuyu
（考えたく、ないのに……）
Mafuyu
（このりんごは……捨てたくない）
Mafuyu
（わからない——）
Mafuyu
（わからない、けど……きっと……）
Mafuyu
……もっと、寄り添いたい……
Mafuyu
苦しんでる人の、すぐそばで……
Mafuyu
（私が……私でいるために、必要な気がする）
Mafuyu
（だから——）
Kanade
……それが、まふゆに必要なものなんだね
Mafuyu
……うん……
Mafuyu
わからないけど……多分……
Ena
へえ……
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Mizuki
え、なになに？
Rin
あ……
Len
あそこに……ドアが……
Mizuki
えっ！？ ホントだ！ 今までなかったよね！？
Kanade
うん……
Ena
なんだろ。 ちょっと近くまで行ってみる？
Mizuki
んー……。 見た感じ、普通のドアっぽいね
Ena
このドアも、まふゆの想いでできたってこと？
Miku
そうだと思う
Mafuyu
…………
Mafuyu
……開かない……
Kanade
壊れてるのかな
Ena
ていうか、ドアだけって……なんで？ こんなところで開けても意味ないじゃない
Mizuki
いやいや、もしかするとドアを開けたら 違う場所にワープしちゃうのかも！
Ena
いや、アニメじゃないんだから
Kanade
……でも、なんのためのドアなんだろう
Mizuki
んー……わかんないけど、 出てきたってことはやっぱ意味があるんじゃない？
Mafuyu
意味……
Luka
……もしかしたら、またまふゆの心に変化があったら 何か変わるのかもしれないわね
Luka
この場所ができて、ドアが現れたみたいに
Mafuyu
Change……
変化が……
Kanade
…… It’s definitely scary…… to change.
……変わるのは、きっと…… すごく、怖いと思う
Mizuki
...... I agree.
……そうだね
Mizuki
But... we're here with you.
でも、ボク達も一緒だよ
Ena
Well, no need to say that now. We’ll be in trouble without you.
ま、今更だけど。 あんたがいなくなるのは困るしね
Kanade
Yeah— No matter how scary it’ll be, we’ll face it together.
うん。——怖いことがあっても、一緒に受け止める
Mafuyu
……!
…………！
Kanade
Therefore, together…… let’s change.
だから、一緒に……変わっていこう
Mafuyu
Everyone……
みんな……
Mafuyu
…… Yeah……
……うん……
Len
…… I’m glad for everyone.
……みんな、よかったね
Miku
Yeah. Just a little…… but it looks like Mafuyu’s become better.
うん。少しだけど……まふゆも、楽になったみたい
Luka
It seems like there is some progress, albeit little by little.
少しずつだけど、進展しているみたいね
Rin
…… Ah, hey. By the lake…… there’s something.
……あ、ねえ。 湖のそば……何かある
Miku
Eh? Ah……
え？ あ……
MEIKO
…… Looks like some sort of bud.
……何かの双葉、みたいね
Luka
First is the lake, and now even plants are also growing here. Is this also due to the change in her feelings?
湖ができたと思ったら、植物が生えるなんて。 これも想いの変化かしら
KAITO
…… Perhaps, it’s a good sign.
……多少は、いい兆しが見えてるのかもな
Miku
…… I hope it’ll grow big and strong.
……大きく、育つといいな