Full Power! Wonder Halloween!/Story/Chapter 4

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よーし!
それじゃあ今日から本格的に練習開始だ!
えむ
おーっ!
えむ
でも、司くんケガ大丈夫?
もう痛くない?
寧々
思いっきり頭打ったんだから、無理しないでよね。
それ以上頭がアレになったら困るし
心配しているんだかバカにしているんだか……
心配するな。念のため近所の病院にも行ったが、
特に問題ないとのことだった
今は練習に集中あるのみ! いいな?
えむ
司くんがそういうなら……りょうか~い!
寧々
じゃあ、台本の読み合わせから始めよっか。
類、台本コピーしたって言ってたけど……
…………
寧々
類? 聞いてる?
ん? ああ、台本はここにあるとも。
早速始めようか!
寧々
……うん
えむ
『園長~! 今日はなんだかいつもより、
たくさんのお客さんが来てくれてますよ!』
『何? それは喜ばしいな。
どれどれ、どんなお客さんが来てるか見てみよう……ん?』
『な、なんだあれはー!
墓の中から出て来てるじゃないか!』
『あれはもしかして……、
いや、もしかしなくとも死者の群れだ!
こっちへ向かって来てるぞ!』
えむ
『うわ! ほんとだ!
ちょっと臭そうでイヤですね~』
『そういう問題じゃない!
早く、お客さん達を逃がさなければ』
『死者の群れに襲われる前に!』
……ここで司くんが舞台から客席の中央へ。
観客に向かって呼び掛ける
『みんな、早くここから逃げるんだ!
死者達がやってくるぞ!』
そしてここで、死者の群れに向かって……
……いや、ここではそのまま司くんは舞台へ
戻ってもらおう。そこで次のセリフに——
んん?
そんなに地味でいいのか?
最初に死者の群れが出てくるシーンなんだぞ。
もう少し盛り上げたほうがいいだろう
ああ、そうだね……
オレがゾンビロボットと戦うのもいいな!
えむ
かっこいい~!
あたしもそれやりたい!
寧々
うん。いいかもね。1体に苦戦したら、
死者が大変な相手だってこともよくわかるし
……うん、たしかにそうだね。
1体に苦戦しているうちに、
反対方向から死者の群れが迫ってくる——
じりじりとステージの端まで追い込まれる司くん、
そして背中側から近づく死者に、観客は息を呑む……
ふむ、全員の目がオレに釘づけになるわけだな!
えむ
それでそれでっ?
死者が一斉に迫ってきたところで、
司くんが驚異的な跳躍をする
おお! ワイヤーアクションだな!
空中で大回転したあと、
死者達の上空を飛び越えて——
えむ
すっごくおもしろそうだね~♪
ああ、派手でオレにピッタリの演出だ!
類、次は——
いや……このあとのテンポを考えると
今の流れはあまり良くないかな
へ?
僕のほうでもう少し考えてみるよ。
とりあえずここは一旦置いて、先に進もうか
寧々
類……?
よし、次は例の、奈落に引きずりこまれるシーンだな!
前回はゾンビロボットに足を引っ張られてしまったが、
今回は見事に決めてやるぞ!
……それなんだけどね、司くん
演出を少し変えようと思うんだ
何?
前は司くんがゾンビロボットに
引きずりこまれる流れにしたけれど、
観客からは奈落の中が見えづらいだろう?
だから舞台の奥からゾンビロボットが現れるようにしたいんだ。
死者が迫って来る様子がわかるようにね
司くんにはマイムで引きずりこまれる演技をしてもらう。
そっちのほうが、全体的に見ると派手だろう?
まあ、それも悪くはないが……
……本当に、それでいいのか?
うん? どういう意味だい?
せっかくのハロウィンショーなんだ、
もっと斬新なことをやっていくべきだ!
いつも以上にやる気だぞ、オレは!
それに引きずりこまれるマイムだけでは、
臨場感が足りないだろう
やはり前のように奈落から死者が出てきたほうが、
観客も一緒に恐怖を味わえるんじゃないか?
いっそ10体のゾンビロボットがオレを引きずりこむのはどうだ!
そっちのほうが派手で目立つだろう!
寧々
10体でって……それはさすがに危なくない?
この前だってケガしそうになってたのに
問題ない。前はうっかりしたが、本番では必ずやりきる!
むしろ多少危険に見えるほうが、ハラハラ感が増すはずだ!
どうだ? 類
……いや
実際に引きずりこむのは、あまり舞台映えしない。
このシーンならもっと舞台全体を使ったほうがいいよ
やっぱりさっきの舞台奥から現れるプランに……ん?
どうしたんだい?
どこか変なところがあったかな?
寧々
変っていうか……
えむ
うん……。
なんだか、いつもの類くんっぽくないなぁって思ったの
いつもの僕らしくない……?
そうかな。僕はいつも通りのつもりなんだけど。
どこがいつもの僕と違うんだい?
えむ
どこがって言われると
わからないんだけど~
…………
——おい、類
お前、本当にそれが一番やりたい演出なのか?
——え?

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